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シャーメインと遊びたい・2

それでレイは何のお話をしたかったのだろう。


「マイルス・マクギリスがクリスの存在を知ったそうだ」

「叔父上が」


 クリスティナの叔父上呼びにレイが妙な顔をしたのは無視して先を促す。ほら早くしないとお姉さんが雑巾片手に戻って来ちゃうよ。


「ここの住所も知られている」

「なんで?」


意外な話に、つい雑な聞き方になってしまった。


「縁戚であることの事実確認がマイルスの所へいったらしい。身の回りに注意する必要が出てきた」

「それ、誰情報なの?」

「うちの守護様が聖王様のお言葉を伝えにいらした」



 はうるちゃんを通しての聖王様。それなら本当だろう。

クリスティナが納得したと見て、レイが安堵の表情を浮かべる。



「分かってくれたか。だからアンディと会うのは少し待ってくれ。もしもアンディといる所をマイルスに目撃されたら、アンディが困った立場に置かれるかもしれない」

「それはアンディに悪いね」

「だろう?」



 短いなかに三度もアンディの名をいれたレイの顔に安堵が広がる。


「でも『遊ぼう』と言われてお返事もしないのも、悪くない?」



 アンディは気の小さいところがある……ではなく繊細さんだから、その辺りは気を遣ってあげないと。ただでさえ「クリスはそうだよね」なんて、私のことをガサツみたいに言うのだ、昔から。


 私がウォードのお手紙を待っていた時と同じで、アンディもそわそわするかもしれない。



「しかしだな、クリス」

「それに、お姉さんが危ないならレイの出番でしょ。いいとこ見せられるよ」

「それは別の話だろう」



 お返事もなしに放ってはおけない。クリスティナは強く主張した。

 レイのその鍛えた体と剣の腕はなんのためにあるのだ、存分に振るうよい機会だと喜ぶくらいの気持ちが欲しい。


 そう言おうとした時、明るい声と共にフレイヤお姉さんが戻ってきた。手にしたお盆にはティーセットがのっている。



「はい、おまたせしました。お掃除はやめてお茶にしましょう」


 いつもお菓子が入っている戸棚に向かい、菓子皿を取り出すお姉さんの髪のリボンはクリスティナとお揃いだ。



「レイ、アンディの話はまたね。私いいこと思いつきそう」


 こそっと囁けば、レイが露骨に嫌がる。なあに、そのお顔は。


「お姉さんに話す?」

「いや。フレイヤさんを怖がらせたくない」



 即座にきっぱりと返された。おお、さすがフレイヤお姉さん命のレイ。


 私が怖がるのはいいんだ、などと拗ねたような子供っぽいことは言わない。だってもう大きいですから。




 はうるちゃんとダー君ならつい最近来た。

ちょうどクリスティナが髪を結んでもらっているところで、ダー君が羨ましがるので細い紐で前髪を結んであげた。さらさらの髪からリボンは抜け落ちてしまう。それで紐。


 その紐、ない方がいいのでは? という見た目になったけれど、ダー君本人は「うふうふ」と満足していた。



 それを見たはうるちゃんが「俺も俺も」とうるさくねだる。でも短い毛が結べるはずもない。

クリスティナがリボン結びを作って、はうるちゃんの体に糊で貼り付けた。


 ご機嫌なはうるちゃんとは逆に、ぴぃちゃんは若干引き気味だったと思う。

「ぴぃもぴぃも」とは言わなかったもの。



 はうるちゃんがレイに話したのは、たぶんあの日だ。いつもより賑やかに遊んでいったのは、そういうこと。

答え合わせができたような気持ちになる。


 フレイヤお姉さんはレイが守る。私は私を守ろう。クリスティナは小さく拳を握った。



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