シャーメインと遊びたい・1
アンディが、いつものティールームに残した伝言「シャーメインが会いたがってる」を聞いて、クリスティナは久しぶりにアンディとシャーメインに会いたくなった。
「アンディに遊びに来てもらいたい」
フレイヤお姉さんはすぐに賛成してくれたのに、レイが難色を示す。
「マイルス・マクギリスの考えが分からない以上、不用意にアンディに接触するのは」
止めておこうなんて言う。そんなの気にしていたら何もできない。
レイはクリスティナの声にしない不満を聞き取ったらしい。
何か言いたげな顔つきで、フレイヤお姉さんの様子を窺い、口をつぐむ。一方のお姉さんは気がつかずに、乾いた雑巾で埃を払っている。
そんなことレイにさせればいいと強く思う。お姉さんは大家さんなのだし。
ちょいちょいっと指で「お姉さんひとりにやらせないで、レイもしたほうがいいんじゃない? 私も付き合う」と、伝える。
指一本での伝わり方は、ぴぃちゃんのダンスといい勝負かもしれない。
それでも、レイが動いた。
「フレイヤさん、俺にも雑巾もらえますか」
「あら、ありがとうございます。でも私もなんとなく始めただけなので」
お姉さんが遠慮する。ここは私の出番だと、クリスティナはずいっと前に出た。
「じゃあ、お掃除はレイにしてもらってお姉さんは私のお勉強をみて。でも、レイだと可愛い飾り物を壊しちゃいそうで心配?」
今お掃除しているのは、棚に置いたお人形サイズのティーセット。大きさはレイの親指くらいで繊細だ。任せるのは危険かも。
心から心配するクリスティナに、フレイヤお姉さんは花がほころぶように笑う。
「ティナちゃんったら。レイさんは物の扱いが丁寧よ」
「見かけによらず、ね」
「いいから、雑巾をください」
重ねて頼むレイ。これは汚れたので別の雑巾を持ってきますと言って、フレイヤお姉さんはその場を離れた。
「クリス。他にやり用があるだろう」
お姉さんの姿が視界から消えた瞬間に、レイから苦情が来る。
「そう?」
「俺がフレイヤさんのいないところで話したがっていると気がついた察しの良さは感心する。でも、なにも掃除を口実にしなくても」
ん? お姉さんに聞かせたくない話を私としたかった? それを察した私が、気を回して上手にお姉さんを部屋から遠ざけた。
レイはそう褒めているのかな。
クリスティナ、びっくり。レイに「アンディと遊ぶのはダメだ」と言われたのが気に入らなくて、「お姉さんを働かせないで、レイがお掃除すれば?」と思っただけで、深い考えは一切なかった。
でも、そんな良い方への誤解をしてくれたなら真実は闇に葬ることにする。
意地悪してごめん、レイ。ちょっと反省した。




