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ユウキサーガ ~ 悪を撃ち抜くCheckmate!~  作者: クレキュリオ
恋歌編

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クライマックス 魔人と悪魔の終点

 黒いアーマーを着た、斎野敬。

 手の甲に剣が装備されている。

 青紫に発行する不気味なヘルメットで、悪魔の表情を隠している。


 彼の能力は未知だ。その為対処法は現時点でない。

 ゆっくり探る時間もない。体力もそうだが。

 ユウキは細胞が、活性化するのを感じる。


 初めて魔人召還した時と同じものを。

 斎野修一戦で魔人を纏ってから感じていた。


「抗うのか。なら、君を削除する」


 敬は掌をユウキに向けた。

 その直後、ユウキは何かが近づく気配を感じる。

 咄嗟に首を倒すも。頬に熱が走った。


 熱さの後に痛みが来る。触れてみると、傷を負っている。

 背後の壁を見る。直線状の位置が焦げていた。

 速さ。ダメージの感覚から、ビームを受けたと推測できる。


 アーマーの装備を使ったようには見えない。

 掌には銃口らしきものもない。


「なるほど……。随分シンプルな能力じゃないか」


 ユウキは袖で、血を拭おうとした。

 布が触れた瞬間、異変に気づく。

 もう傷が、自然治癒しているのだ。


 頬が熱くなる。細胞が燃え上がる感触がする。

 体に溢れるエネルギーが強まる。


「シンプルだからこそ、応用できる。立ち止まる奴は、愚か者だ」


 敬は傷が塞がったのに気づいていないのか。

 特に反応も見せず、返答をした。


「発想力こそが、人間に与えられた武器だ」


 敬の姿が消えた。数コンマ遅れで、腹部に痛みが走る。

 殴られたと認識すると同時に。眼前に敬が現れた。

 拳がぶつかっただけなのに。腹部が焼けるように痛い。


「君の力は解析済みだ。どの程度でダメージを、与えられるのかもな」


 ユウキは頬に衝撃を受けた。

 背面に飛ばされ、倒れ込む。

 正面に居たはずの敬が、真横に移動している。


 修一の時と違う。純粋な速さだ。

 移動する気配を感じが。反応出来る速度ではない。


「このアーマーが、脳のリミッターを無視して。自動で力を調整する」


 起き上がろうとするユウキ。そこへ斎野敬の足が乗りかかる。

 踏みつけられ、動きを封じられる。

 敬は右ひじを引いた。腕の先にユウキの右足がある。


「お前、そんなの使ったら、体を壊すぜ」

「問題ない。この肉体は、あと数分で用済みだ」

「ダメだな。言葉は分かるのに。話が出来ねえ!」


 敬の剣が、ユウキの膝を貫通した。

 剣を刺すため、彼の体が近寄って来る。

 ユウキは銃を取り出した。銃口を敬の体に密着させる。


 サイコガンのもう一つの機能。

 念力波を範囲を絞って出す技。

 ゼロ距離で衝撃波を受けて、敬は背後にのけ反った。


「どうやら、お互い痛みが、意味をなさないようだな」


 アーマーの防御力か、ダメージが少ない。

 敬はユウキから足を離した程度だ。


「まだ負けられないんでね。死ぬまで噛みつくぜ」


 足の傷も瞬時に治った。そんな力、ユウキにはない。

 細胞が徐々に暴走を始めた。溢れるエネルギーを制御できない。

 その度に纏った魔人が、濃くなる。


 半透明だった姿が。ユウキを隠すほどの光になる。

 パワーが上がっていくのを感じる。


「君を殺す必要はない。消去する時期に、違いが出るだけだ」


 ユウキは立ち上がる。剣を構えて、敬を真っすぐ見る。

 意識はしっかりしているのに。視界がぼやけている。


「強くなっても。君自身が消耗していては、意味がない」


 敬は剣を振り回した。ユウキも剣で防御する。

 接触と同時に、衝撃が体を走る。

 攻撃の重さは互角。しかし、押し合いに持ち込まれた途端、ユウキは劣勢だ。


 敬は脳の命令を無視して、力を発揮できる。

 ユウキは体が大丈夫でも。脳が疲労を訴える。


「今の君では私に勝てない。それで十分だ」


 敬は右足を後ろに回した。何が来るのか、把握できた。

 それなのに……。ユウキは対応できない。

 一度敬から距離を取る術が、残されていない。


 敬の回し蹴りが、ユウキの体に炸裂。

 壁にクレーターを作る。修一の時と同様。

 細胞がエネルギー爆破する感触に襲わえれる。


「自らのエネルギー暴発で、消し飛べ」


 ユウキの体には、常人とは比べ物にならないエネルギーがある。

 魔人召還の影響で発生したものだ。

 これらが暴発したら。この部屋も。ユウキの体も吹き飛ぶだろう。


「恋歌……」


 放出されそうなエネルギーを、抑えきれない。

 傷が塞がるこの状態の弱点。敬は的確について来た。

 熱暴走を始める中、ユウキは恋歌の顔が浮かぶ。


 なぜ自分は、一人で戦う事を選んだのか?

 自分が強くなろうとしたきっかけを。原点を思い出す。

 ここで負ければ。全ての選択が無意味に終わる。


 ユウキは青く光る剣を見つめた。

 魔人召還は、この剣の。神器の力を介して行っている。


「ハァ……。ハァ……。ウエエエ!」


 ユウキはエネルギーを抑えるのを止めて。

 自分の腹部に剣を突き刺した。


「っ!? 天才の私でも理解できないだと……?」


 敬の僅かな動揺が、声で伝わる。

 剣で刺された箇所が、塞がろうとする。

 人間でない細胞に、置き換わる。


 傷口に入った神器。細胞と交わるのを感じる。

 体を覆う魔人が、神器に光を集めた。


「十年前から……。許せなかった……! ずっとぶっ殺してやりたいと思っていた……!」


 ユウキは立ち上がり。瞳を赤く光らせた。

 魔人の体が実体化していく。

 ユウキ自身が、魔人と同化して行く様に。


「復讐。それが君の動機という事か」

「復讐……? ああ、そうだな! ずっと……。自分が憎かった……!」


 口を動かしていないのに、声が出ている。

 自分の耳にも、エコーがかかったように聞こえる。

 意志が消えていき。抑えていた感情が、意識を支配する。


「悪魔にでも、魔人にでもなってやる……! 彼女を……。今度こそ……!」


***


「バカな……。想定通りに行くとは、思っていなかったが……」


 斎野敬は、目の前の事実を受け入れきれない。

 青い光が天井を貫く。窓ガラスが一斉に割れる。

 目の前の存在が姿を変える。魔人を纏った少年から。魔人そのものに。


 敬は後ずさりをした。自分の足が震えてるのに気が付く。

 今まで予想外や、知らないものに遭遇するなど、何度もあった。

 未知の存在への耐性は、十分にあった。


 それなのに、心拍数の乱れが。震えが止まらない。

 生まれて初めて、心を不快なものを宿した。


「理解できない……。なんだお前は? なぜそこまで……!?」


 魔人は四つの翼を広げた。その瞬間、部屋に衝撃波が発生する。

 敬は体の制御が効かず。壁まで押し付けられる。

 全方向に放たれたものに。アーマーの重量が負けた。


「ウグォ! ブォ!」


 ビル全体が揺れた。風景が、徐々に変化する。

 空に上がっている。雲が下がっていく。


「殆ど自我がない……。なのに……」

「ドォ!」


 ユウキだった存在は、敬に飛び掛かってきた。

 暴走ではない。明確な敵意を持って。

 敬の体に膝蹴りが飛んでくる。


 魔人召還用に強化したアーマーに、ひびが入る。

 周囲の風景が代わり、一気に宇宙空間へ。


「お前は、なぜ戦える? なぜ人を保っていられるんだ!?」


 敬は残り時間を見る。後一分で大規模スキャンが入る。

 だがビルが宇宙空間にあっては。スキャンが人間に届かない。


「まだだ……! まだだぁ!」


 敬はアーマーの全出力を、解放する。

 自分の体がオレンジ色の光に包まれる。

 アーマーは壊れて、自分の体もダメになるだろう。


 それが分かっていても、狂気が彼の体を動かす。

 膨大なエネルギーと共に。敬は魔人へ特攻を仕掛けた。


「十年かけた私の夢を……。こんなところで終わらせられるかぁ!」


 魔人と敬の体が接触する。その衝撃だけだ。

 ビルの床が崩壊した。重力が弱まっているので、落下はしない。

 全てを込めた渾身の力を。魔人は右手一本で止めていた。


 敬がどれだけ力を込めても。アーマーが超える力を出そうとしても。

 体が一歩も前に進まない。


「怪物が……! お前は……。お前はなんなんだ!?」


 魔人は敬を投げ飛ばした。その先には、膨大な動力炉がある。

 街中をスキャンするための、エネルギー源だ。

 最大まで溜まった現状で壊れれば。ビルが吹き飛ぶ。


「フフフ……。ハハハ……」


 斎野敬はヘルメットの向こう側で、口角を上げていた。

 アーマーの最終機能。自分の記憶のスキャンを始める。

 人工衛星を通して、記憶だけを逃がす。


 その動作中に、魔人が飛んできた。

 剣を構えて急降下する。

 敬の体に剣を突き刺し。動力炉へ飛んでいく。


「例え肉体がなくても。私じゃなくても……」


 魔人の剣が、動力炉に突き刺さった。

 フルチャージで、エネルギーが暴走する。


「私の夢は……。計画は……。才能は……!」


 敬は目を大きく開いた。

 死が迫っているはずなのに、笑いが込み上げてくる。


「永遠に終わらないいいいいいいいいいいいい!」


 強力な光が、敬の視界を防いだ。

 直後に体を包み込む、強烈な圧力が走る。


「アッハハハ!」


***


 ビジランテ社が会った場所。

 その上空で、白い光が広がった。

 音もなく。避難が完了したため、人影もない。


 誰も何が起きたのか、知らない。

 消えたビルが戻って来ることもない。

 代わりに空から……。一本の剣が振ってきた。


 青く輝く、ロングソードが。地面に突き刺さる。

 その後、役目を終えたかのように。その光が消えた。

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