8話
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「やっぱり、割れたら剥げて新しく生えてるんだ」
数分の格闘の末、マージは白龍の治癒が生物と同様の生え変わりによるものだと理解していた
「この再生力、生身も?」
それと同時にマージの脳裏に絶望の予感が駆け巡った。龍鱗を剥がすのにも時間を要すること、加えて龍鱗は鎧、あくまで有効性のある攻撃を与える前段階、料理でいう下拵えの段階───徒手による有効打は期待できないことが分かったのだ
【お待たせしました】
「!」
素手による攻撃が有効打足り得ない状況が分かった直後の知らせにマージは素早くブローカーの元に駆け寄った
「ありがとうございます」
その背を追ってくる白龍だったが衝突の刹那、マージの構えた武器によりそれは相殺され、あろうことか先まで苦戦を強いられていた龍鱗を一撃で砕いていた
「凄い」
【会心の出来には銘を与えるのだと聞きます
そうでないものとを見分けるのに必要ですので】
白龍の龍鱗を幾重にも重ねて溶かし成形。魔物由来の〈高い魔力適性〉を主軸に『衝撃吸収』『結晶庇護』の〈術式〉を抽出、刻印。使用者の魔力に呼応して破損を防ぎ、聖杖へと衝撃を逃す穂先
白龍の龍鱗を幾重にも重ねて溶かし成形。打撃耐性を逆手に取った戦鎚部は何度も折り返し鍛練を続けた結果、聖火による祝福をその内に宿し、ほのかに赤らみを得ていた
槍と戦鎚の合わさった見た目のそれにブローカーは銘をつけた
【〈鋲槌朱雀〉】
「綺麗だ」
マージは白龍を捉えていた穂先を捻ると返す手で白龍を殴り飛ばした
「ブローカーさん」
【はい】
「手にとても馴染みます」
【それは】
「ところでなんですが、芯は何を?
龍のそれではないですよね?
違っていたらすみません」
【聖杖です】
「え?」
【聖杖を使いました】
マージの顔が青ざめ、先まで浮かべていた笑顔が何処かぎこちなくなり、両手に乗せた〈鋲槌朱雀〉を眺めながら言った
「帰ったら教会に謝りに行きますよ…」
【はい、緊急事態の説明と
祈祷による神からの赦しを受けなければ
なりませんので】
「大事じゃないですか!」
マージはここにきてから叫び続けている




