5話
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扉の向こうには大理石の様に真っ白でいて、眩しいと錯覚させる空間が広がっていた。扉とは違い、掃除が行き届いているのか、それとも使われていないからこその綺麗な空間がそこには広がっていた
〈錯覚〉。そう、光はほとんどない。壁に掛かっているか、浮かんでいるか定かではない〈夜行石〉─── 光源それ自体と周辺を青白い光で薄ぼんやりと照らしている光があるばかりだった
魔物の巣の渦中、空間の中は、暗闇は魔物の得意とする領域である
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しかし、その一角。その場所だけには鮮やかな紅色が目立つ箇所があった。未だ広がりを見せるその空間に近づき、その中で倒れ伏すマージを持ち上げて抱きしめる
【天使の白翼】
腕の中で小さな鼓動が息を吹き返した
「ティーナさん?どう、して」
【遅くなってしまいました】
何年も前からこうしたかったことを今できていることに満足感を覚える。挨拶を受けたその日からの悲願の達成。自分がどうしようもなく卑しいものに思えて仕方がない。永遠に終わらないでいて欲しいと思う反面、この空間に巣食う龍の存在が邪魔で邪魔で仕方がない
「そう、ですよね
来てくれるって、信じてました」
【おやすみになられて下さい】
「アルトラさん達は?」
【応戦中です】
「そっか、僕はやっぱり役立たずだね」
【そんなことは───】
「…」
【───ありません。決して】
今こうしてものを考えやりたいことを始め
やるべきことを実行できるのだから
これを「役立たず」などという言の葉の羅列で
否定しなかったことになんてさせない
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眠りについたマージを『護身結界』で保護した。迷宮を脱出するには龍を倒す必要がある
【アーツの回収、並びに
『直感検索』『テンプレート』使用
〈神虚看眼〉を実行】
返還された『アーツ』を〈シナジー〉───相乗効果を生み出す特定の組み合わせで発動させ『テンプレート』で呼び出し広大な空間内を見回した。そこは王が不在の玉座といった印象を受けた
墓所と言うべき代物だった。大理石で造られた広大な空間に玉座がひとつだけ、松明ではなく〈夜行石〉を光源として利用しているあたりこの場所をより長く安定した状態で保存していたい意図が見える
荘厳なる建築がそこには広がっていた
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そんな空間に大理石とよく似た体色の白亜の鱗を持った蛇がいた。しかし、壁にや天井に接着していない状態を見るに龍と言われる種類であると断定
龍種は相応にして不死性の高い存在であり、その魔物となれば傷の自然治癒は生物のそれを遥かに凌駕する
迷宮の魔力の流れが件の魔物に集約している以上、これを無視して最深部に到達したとしても攻略完了による迷宮の崩壊は起こらない───世界がそれを認識しない故の不具合とでも言うべき代物だ
【『剛体化』を起点に〈剛気鬼象〉を実行】
この白龍は【私】───肉体を手に入れたことで生じる弱点、視界は両の眼頼りとなり、『アーツ』への干渉も『世界への説明』を前提とした誤差のある状態になっている弱点を悉くついてくる。非常に厄介だ
しかし〈神虚看眼〉により暗所での視界不良を補ているのが分かる。音を置き去りにした速さで迫りくる白い巨体をこの目で捉えられているのが何よりの証拠だ
加えて〈剛気鬼象〉による強化も『予感』による〈先読み〉で間に合った。加速を相殺するだけの強化も行えているのが救いである
【『出力調整』を起点に〈限界突破〉実行
並びに『祈祷術』『霊体拡張』を起点に…
この肉体ではこれ以上の酷使には耐えられない。鼻血が流れ出し、猛烈な倦怠感が全身を襲う〈重度魔力欠乏症〉の症状だ。しかし、決定打足り得る力が必要だった
【『状況解析』により問題点修正
〈守護者〉を限定実行】
ふらつく身体を根性で〈魔力欠乏症〉の〈極度不安状態〉を『精神防壁』で無理矢理律する。しかし、無理をしたおかげで〈守護者〉の両腕の顕現に成功した
本来ならば自律行動をするところを両腕のみを顕現させることで魔力消費を軽減。両腕を『霊体拡張』にて操作可能とした
【…】
猛烈な重低音とともに衝撃が魔物の巣に響き渡った。不完全顕現故に不可視の両腕は攻防一体───龍の突進や尾を受け止め、攻撃へと転じる
しかし、龍鱗が弾ける音や砕ける瞬間が見えながらも驚異的な自己治癒により瞬時に修復されてしまった。龍の敵意は衰えることを知らずにいた




