35話
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「凄い」
【隠密行動】───メロ=ブランデの【才能】で先行調査、会敵時には他3人が戦闘を担当する役割分担をしていた。マージにとって馴染みのある陣形ながら最も重要な位置付けにある〈回復〉が不在だった
それでもここまで大した怪我がないというのは全員が戦闘に慣れているんだとマージは思った。大規模部隊でも怪我をすればそれだけ費用が掛かる、少数精鋭での速やかな任務達成は理論上とても安価で済む部隊だ
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「こちらを」
「気が利くな」
探索中、マージは回復と支援、補給を担当していた。祈祷術や簡単な術式による支援、荷物から物資を取り出し分配。昔取った杵柄───努力の賜物と言って良いだろう
剣の手入れを簡易的に行う背中に魔法使いの男性がマージに声を掛けた
「ここまでできるのに
浮空草になるって何したんだ?」
マージは少し言葉につまるも話し始めた
「自分の才能のなさを実感しまして
仲間に迷惑を掛けて───」
浮空草はそもそも、迷宮の攻略をするなら組合に所属する方が支援も報酬も高いため所属しない理由がない。そこから所属できないものは何か訳ありの人間に違いないとして〈根の無い草〉───〈浮空草〉に例えられた言葉なのであった
「───一緒に潜っていた仲間を
危険にも晒しました
役割も全うできず…」
「分かったもう良いぞ
なるほど、大変だったな」
メロやその仲間達は既にマージと打ち解けていそうになっていた。よく動き、よく支援をし、気が利く上に子供だ。苦労話もあり、警戒を示す素振りすらなかった
「巡礼とはそういうことか」
「はい、贖罪の巡礼です」
「しっかりしているな」
「…」
◆
地下第十三層で探索は続くなか剣士の男がマージによく絡みに行く様になっていた
「我々は魔物の発生源を追って発見した
そのまま攻略を行うことにしたのだ
組合に代わって、な」
「それは…大丈夫なんですか?」
「優れた将は
時に気を利かせて動くこともまた責務なのだ」
「…」
「お前は良い兵士になれるさ」
「ありがとうございます」
「タイギは別に兵士になる訳じゃないぞ?」
「分かってるっての」
アビーク公爵の家紋を背負った四人がとの探索は順調に進んだ。小隊長はどこか思い詰めた様子を見せていた
◆
「タイギは今のキヌイをどう見る」
剣士の男が不意にマージに聞いた。マージは少し考えた後に答えた
「安定した交通と盛んな取引で
とても裕福だなと、思いました」
「そう見えるか」
「ですが」
「?」
「魔物と生物が異常な行動を
とっている様に見えます」
「本当によく気がつくな───」
剣士は続ける
「───キヌイ周辺の魔物の異常な繁殖
はアビーク公爵も知るところだったのだ
公は私兵から精鋭を選んで調査させ
我々がここを発見したのだ」
「…それはいつの、話ですか」
「確か〈3日前〉だな」
「えっ…?」
マージと剣士の後ろで小さな声が漏れてきた
「どうした?」
「いや、何でもない」
「タイギ君は名誉挽回のためにたった1人で
ここまで来たんだろ?小遣い稼ぎとは
言ってるけど」
「僕は…」
「みなまで言うな。何なら兵士に推薦しても
良いんだ。君ならすぐ出世できるだろう
あんな組合になんて戻らなくても大丈夫だ」
「そう、ですね」
マージは静かにそう返事をした
「攻略後に公爵にやむなく独断で攻略したと
報告する。そうすれば功績にもなり
より箔がつく」
「もう良いだろ、タイギが困っているぞ」
「…考えておけ、良い返事を待ってるぞ」




