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第4話 【攻略対象:赤】のお悩み相談と、【悪役令嬢:紫】の登場

「アスール! リディア! 俺の悩みを聞いてくれ!!」


 それはいつものようにお母様と一緒にキュアノエイデス公爵家へ行き、お兄様と庭のガゼボでお茶をしている時のことだった。


 皇太子殿下が深刻な表情でやって来て、開口一番そう叫んだのだ。


 彼いわく、近くあるヴァイオレット様のお誕生日の贈り物の助言が欲しいとのことだった。


「ヴァイオレットの欲しいものか。あいにくわからないな」


 お兄様は申し訳なさそうに答えた。


 ヴァイオレット様は公爵令嬢だ。大抵の欲しいものは容易く手に入るだろう。


 お兄様の回答に皇太子殿下は肩を落とした。そして、わたしに意見を求めてきた。


「リディアはどう思う?」

「そうですねぇ……。わたしだったら他の女性と相談して決めた贈り物なんて嫌ですね。あと趣味じゃないものも要らないです」

「そうか……」


 皇太子殿下は目に見えてしょんぼりしてしまった。


「殿下、好みのものがわからないなら正直にそう言った方が良いですよ。現時点でのサプライズは時期尚早です」

「そうか……」


 どうしよう。

 殿下が「そうか」しか言わなくなってしまった。

 そこで違う提案をしてみることにした。


「下手にカッコつけるよりも、直球勝負の方が殿下に向いているのではないですか?」

「「直球勝負???」」


 お兄様と殿下の疑問の声が重なった。


 意味がわからないと言いたげな2人の視線がわたしに向けられる。


 なんだかデジャヴと思いつつ、わたしは説明した。


「一緒に誕生日のプレゼントを買いに行けば良いのでは? そうしたらお買い物デートにもなるし、ヴァイオレット様の好みもわかるし一石二鳥ではないですか?」


 わたしの答えを聞いた皇太子殿下の顔がぱぁっと輝いた。


「そうか! それもそうだな!! さっそくヴァイオレットをデートに誘ってくる!!!」


 そう言って颯爽と去って行く皇太子殿下をわたしとお兄様は生あたたかい眼差しで見送った。


 上手く行くと良いなと願いながら。



 ♢♢♢



「あなたがアスールの又従姉妹のリディアね?」


 それから2週間後。


 いつものようにキュアノエイデス公爵家のガゼボでお兄様とお茶をしていると、まるですみれの花のように鮮やかな紫色の髪と瞳の美少女が現れた。


「リディア、紹介しよう。僕の父方の従姉妹のヴァイオレット・ウィオラーケウス公爵令嬢だ」


 お兄様が紹介してくださったけれど、わたしは美少女の髪と瞳の色でその正体があっさりわかってしまった。


 わたしは令嬢教育で習った通りのカーテシーをする。


「お初にお目にかかります。フルウム子爵家のリディアと申します」


「堅苦しいわね。アスールの又従姉妹ならわたくしにとっても妹みたいなものでしょ? アスールが『お兄様』なら、わたくしのことは姉と呼んでも良いのよ」

「では、お姉様と呼ばせていただきます」


 彼女の希望通りに姉と呼ぶと、ヴァイオレットお姉様は「わたくし、妹が欲しかったのよ」と満足そうに微笑んだ。


「今日はね、2人にお礼を言いに来たのよ。うちのバカの相談に散々乗ってくれたのでしょう? ありがとう。お陰でとても素敵な誕生日になったわ」


 ヴァイオレットお姉様が皇太子殿下を「うちのバカ」呼ばわりしたこともだけれど、その表情が慈愛に満ちていたことにも驚いた。


 当初こっ酷く振られた殿下だけれど、現在のお2人の仲は結構上手く行っているように見えた。


 これは将来かかあ天下になりそうだなぁと思ったけれど、あの殿下のベタ惚れ振りなら喜んで尻に敷かれそうな気がするので、まぁ良いか。   

本日もあと2回、15時と18時に更新予定です。

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