第3話 人生設計と、【攻略対象:赤】との出会い 2
本日3回目の更新です。
とある武門の公爵令嬢に一目惚れした皇太子殿下は彼女に婚約を申し入れた。
しかし、「自分よりも強い男性としか結婚したくない」という公爵令嬢の希望により、彼女と剣で決闘した結果、完敗した上に「弱い男は嫌い」だとフラれてしまったらしい。
剣の腕にも自分にも自信のあった皇太子殿下は、年下の女の子に心身共にフルボッコにされて心が折れてしまったというわけだった。
「なるほど。でもそれで、どうしてお兄様のところへ?」
「その公爵令嬢が僕の父方の従姉妹のヴァイオレットだったんだ。それで僕に助言を求めにきたんだけど……。ヴァイオレットは自分の考えを曲げるような子じゃないから、諦めた方が良いと諭していたところなんだ」
わたしは件の公爵令嬢の名前を聞いて驚いた。
名前と身分から言って、ゲームの悪役令嬢のヴァイオレット・ウィオラーケウス公爵令嬢に違いないとピンときた。
ゲームでは皇太子殿下はヴァイオレット様と婚約していたけど、関係性は冷え切っていたはずだ。
その原因がここにあるのではないかと思った。
どういう経緯か知らないけれど、5年後のゲーム開始時には2人は婚約していた。
だから今フラれてもいずれは婚約できるのではないかと思ったのだけれど、その場合、ゲームと同じ冷え切った関係性になってしまう可能性が高い。
それならばここでスッパリ諦めた方が彼のためかもしれない。
「リディアはどう思う?」
そんなことを考えていると、お兄様がわたしに意見を求めてきた。
「そうですねぇ……、スッパリ諦めるか「いやだ!!!」
皇太子殿下はわたしの言葉に被せるように否定してきた。なるほど。これは心底惚れ込んでると見た。
「じゃあ、根性を見せるしかないんじゃないですか?」
「「根性を見せる???」」
予想外の回答だったようで、お兄様と皇太子殿下の疑問の声が重なった。
意味がわからないと言いたげな2人の視線がわたしに向けられる。
「根性でヴァイオレット様に勝つのです」
「でも、俺はヴァイオレットに完膚なきまでに負けて……」
言いながら皇太子殿下の目からはさらに涙が溢れてしまった。
「ですから、根性を見せるのです。根性で剣の腕を磨いてヴァイオレット様に勝てば良いのです。ヴァイオレット様はご自身より強い方なら結婚してくださるんですよね?」
「!!」
皇太子殿下の目が大きく見開かれた。
「そうか! その通りだな!! まだ俺にもチャンスはある!!! こうしちゃいられない! 帰って剣の稽古だ!!! アスール、リディア、ありがとな!!」
さっきまでの絶望に満ちた泣き顔はどこへやら。
皇太子殿下はやる気に満ち溢れた晴れやかな表情で颯爽と去って行った。
わたしとお兄様はそれを呆然と見送った。
なんて単純なとも思ったけれど、彼が元気になったのなら、まぁ良いか。
それから数ヶ月後。
ヴェルメリオ・エリュトロン皇太子殿下とヴァイオレット・ウィオラーケウス公爵令嬢の婚約が発表された。
次は明日12時に更新予定です。




