第12話 薬草の大流行と、【ヒロイン:ピンク】の動向
結果としてエリュトロン皇国では、薬草を用いた飲み物や食べ物が一大流行になった。
味も良い上に、健康にも良いとあり一過性の流行で終わらずに、新たな食文化として定着しそうだった。
需要の爆発的な増加により、薬草の値崩れが止まった。
ヴァイオレットお姉様は流行の火付け役として社交界でもてはやされている。
キュアノエイデス公爵家の輸出網を使って、隣国に新たな販路が拓けた。
キュアノエイデス公爵家はフラーウム商会と新たに薬草を用いた商品の開発に乗り出すという。
また、過剰生産された医薬品を内乱で疲弊した国への人道支援に当てることになった。
当該国への支援は金銭か人員派遣かで意見が分かれていたため、市場の安定をはかると共に、新たな選択肢を提示したとして、皇太子殿下の評価が上がった。
現在、薬草は生産した分だけ売れる人気商品になっており、長年の値崩れで疲弊した商会や産地は持ち直したとのことだった。
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夏休み明け。
登校してきたアマレロは真っ先にわたしのところにやって来た。
「フルウム子爵令嬢のおかげで秋学期以降も学園へ通うことができるようになりました! なんとお礼を申し上げたら良いか……!」
「わたしはちょっとプレゼンしただけですよ。でも良かったですね。これからも生徒会役員同士、よろしくお願いします」
「はいっ! こちらこそよろしくお願い申し上げます!」
笑顔のアマレロを見て、彼が退学にならなくて本当に良かったと胸を撫で下ろした。
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夏休みが明けると、学園は秋の学園祭に向けた準備で慌ただしくなった。
エリュトロン学園の学園祭は学術発表の場だ。
クラスごとにテーマを決めて、それについての研究結果をさまざまな形式で発表する。
そのため、1つの教室が博物館の展示室のような空間になるという。
ゲームではこのあたりはさらっと流されていた。
その代わりに詳しく描かれたのは、学園祭のあとの後夜祭だ。
名称は後夜祭だけれども、内容は学園の講堂で行われる舞踏会だ。
学園の生徒のほとんどは貴族の子息子女のため、皆きらびやかに着飾った姿で参加するらしく、このイベントのスチルは豪華絢爛だった。
そして、この後夜祭はゲームの中で重要な意味のあるイベントだった。
攻略対象から後夜祭用に彼らのイメージカラーのドレスを贈られるか否かが攻略の成否に関わってくる。
複数のイベントをクリアしていて、複数人からドレスを贈られた場合、ここで選んだドレスの贈り主のルートに入ることになるからだ。
そのため、誰からもドレスを贈られないと、ノーマルエンドもしくはバッドエンドのルートに入ってしまうのだ。
そのことを踏まえた上で、わたしはずっと気になっていたことがある。
それはヒロインの動向だ。
学年もクラスも違うため接点がないから仕方がないのだけれど、ヒロインが攻略対象達の周りにいないのだ。
ヒロインとはクラスが違うので、彼女が普段どんな学園生活を送っているのかわからない。
けれども、わたしの知る限り、お兄様達の側にもアマレロの側にもヒロインの姿はなかった。
一体どうしてだろう?
ゲームはとっくに始まっているはずなのに。
登場人物達も風景もゲームと全く同じだから、ここは「colorful world」の世界で間違いないはずだ。
やはりわたしが生徒会役員になってしまったから、ヒロインと攻略対象達との接点がなくなったのが原因だろうか。
後夜祭でヒロインが誰のイメージカラーのドレスを着るのか。
ひとまずそれでヒロインの動向を判断してみよう。




