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第10話 プレゼンと、【攻略対象:黄】への無茶振り

 翌日の放課後。


 わたしは生徒会室へ向かうと、さっそくプレゼンの用意に取りかかった。


 生徒会では、毎日業務を始める前にブレインストーミングを兼ねたティータイムをしている。


 わたしはこのティータイムの場で薬草の新たな用途についてお兄様達に提案をしようと思いついたのだ。


 家から持って来たローズマリーとバジルの焼き菓子をお皿に並べ、3つのティーポットにそれぞれカモミールとペパーミントとローズヒップのドライハーブを入れてお湯を注ぐ。


 そうして用意が終わった頃、お兄様達が生徒会室へやってきた。


「皆様、今日のティータイムはわたしがご用意させていただきました」


 わたしは机の前に並べたお茶とお菓子の説明をする。


「今日はペパーミントティーとカモミールティー、ローズヒップティーをご用意しました。お茶請けはローズマリーとバジルのクッキーとフィナンシェです」

「聞いたことがないお茶ね」


 ヴァイオレットお姉様はもの珍しそうに机の上を見た。


 そう、この世界のハーブは「薬草」という名前の通り、薬の原料として認識されている。その他の用途では用いられていなかった。


 わたしはハーブティーの効能と味を順番に説明していく。


 ヴァイオレットお姉様はローズヒップティーの美肌効果に興味を示された。


 興味深げにローズヒップティーを飲んだヴァイオレットお姉様の顔が、ぱぁっと輝いた。


「あら、おいしいじゃない」

「このペパーミントティーってのは、スッキリしていてうまいな! 剣の稽古のあとに良さそうだ」

「確かにおいしい。スッキリするから気分転換に良いね」


 薬草を薬以外に用いるというこの世界の常識においては中々の冒険にもかかわらず、お兄様達の反応は良好だった。

 そこでわたしはたたみかける。


「実は現在、薬草の大豊作による薬草と医薬品の在庫過剰で、大きな値崩れが起こっているのです。そこで薬草の需要拡大のための新たな用途としてこれらを提案させていただきました。これらを広めるためにお力を貸していただけませんか?」


「いいわよ。わたくしのお茶会で使ってあげるわ。珍しいから話題になりそうだし」


「国内で捌き切れないなら輸出してみたらどうかな? きちんとした品質のものならうちが取り扱うことができるかもしれない」


「市場価格の安定は国の責任でもあるからな。医薬品の使い途については心当たりがあるから、俺から父上に奏上してみよう」


 ありがたいことにお兄様達は快諾してくださった。あともうひと押しだ。


「そこで、お勧めなのがフラーウム商会です。長年薬草を主力で扱っているので目利きも知識も素晴らしいですし、商品の品質も高く、扱う種類も豊富です。フラーウムさんのご実家なので信頼もできると思います」


 心配そうになりゆきを見守っていたアマレロがギョッとした表情でわたしを見た。


「あら、あなたのお家なの。リディアが勧めるなら安心ね。今度商品を持ってうちへいらっしゃいな。色々見せてほしいわ」


「父上に話しておくから、うちにも輸出に向きそうな商品を見せに来てほしいな」


「俺は医薬品の在庫状況について話が聞きたい」


 皇太子殿下。キュアノエイデス公爵家。ウィオラーケウス公爵家。エリュトロン皇国最高の家々からの注文にアマレロは真っ青な顔でこくこくと頷いた。

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