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草原の魚  作者: 日次立樹


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恋と呼ぶには幼く甘い


くしゃみして 思い、思われ、ふり、ふられ 恋と呼ぶには幼く甘い


里帰りほこりかぶったぬいぐるみ 君の名前が思い出せない


鉢植えのカランコエを七色に並べて虹を作る楽しみ


テレビ裏 本棚の上 母の膝 猫の占めたる位置の確かさ


祖母の手で花の形に結ばれたハンカチは枯れぬ (ほど)く日までは


ハイライト編集された思い出の中に選ばれなかった私


(いたず)らに摘んで帰った野の花は 母の手帳の栞になって


出会うまであなたと気づかなかったのに 別れたあとに押し寄せる過去


玄関が聞いて覚えている言葉 行ってらっしゃい おかえりなさい


別れゆくあなたに花の名を教え 未練になれぬと知る生返事


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