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君の辞書には悲しみがない
溶けるほど甘い言葉で詩をつくる君の辞書には悲しみがない
人生の長きも短きもすべて 桜の花の養分になる
手のひらに載せた果実の黄色から言葉があふれ世界を満たす
熱に病み 冷たく甘い砂糖菓子より懐かしいびいどろの味
光とか そこにあるだけで良いものに僕らは意味を見出したがる
好きだった何万回も恋をして生まれ変わっても嫌いな人へ
心臓がせめてブリキであったなら錆びつかず今も泣けただろうか
なぞれども触れられはせぬ いにしえの手蹟の中に眠る魂
いつか詩になるかもしれない言葉たち眠り続けるノートの隅で
ひいらりと白い繊手がスープ皿遠ざけるように無造作な幕




