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第十四話『野良猫共よ』其ノ壱


 都内某所____




 全てを覆い隠すような静かな夜、埃っぽい廃ビルに響き渡る話し声。


























「____まさか、たった3人とはな」






  鼻で笑いながらそう吐き捨てる数人の男達。そんな男達の前には手足をキツく縛られ自由を奪われた男二人と女の姿。その姿を見て男達はケタケタと小馬鹿にしたような笑いを零す。




 


「しかもうち2人はまだガキじゃねーか、異端者集団が聞いて呆れるな」




 そう言って、男達はまたひとつ笑いを零す。しかし、そんな男達に囲まれる三人には全く焦った様子はなく。


 


「ねーガキだってさ、キミ馬鹿にされてるよ」

「それはそっちでしょ、私大人っぽいもん」

「いや、お前らどっちもガキだからなぁ?」


 


 そう言って、耳の辺りで綺麗に切り揃えられた白髪が揺らしながら少年が揶揄うように言えば、赤味を纏った長い黒髪を頭の後ろで結った少女が心外だとでも言わんばかりに言い返す。その拍子に少女の頭に巻かれた真っ白なリボンがふわりと揺れた。そんな少年と少女の言い合いを、妙に色気を纏った男の大人びた声が突っ込む。呆れるように男がそう言えば、不意に薄ピンク色の長い髪の毛が肩から滑り落ちる。茶色のメッシュが混ざったその髪の毛はサイドで三つ編みに結われていて、やはりそれがどこか艶かしい。





「あーあ、キミが道になんか迷うから捕まっちゃったじゃん。だからボクは絶対に右だって言ったんだよ」

「よく言うよ、文字も録に読めないくせに。そもそも私間違ってないから」

「おーい、2人とも今はそれどころじゃねぇぞぉ」





 捕らえられているというのにまるで緊張感のない三人に男達は一瞬顔を顰める。




が、またすぐに小馬鹿にしたように笑い始めて。



「恐怖の異端者集団も、手足縛られて自由を奪われれば能力も使えねぇただの人間と同じだ。文字通り、手も足も出ねぇってな」


 

 埃っぽい廃ビルに、男達の下品な笑い声が響き渡る。男達は捕らえた三人を見下ろしながら鼻を鳴らすと、手に持った鉄パイプをゆっくりと持ち上げる。
















「自分の弱さを精々あの世で嘆くんだな__」






 そう言って、手足を縛られて身動きが取れない三人に、男達は大きく持ち上がった鉄パイプを何の躊躇もなく振り下ろした____




























 ゆらり、少女の口が妖しげに開く。














 




















「____"() (ばく)"」





 キンッと、男達の動きが一斉に止まる。





それはまるで金縛りにでもあったかのようで。男達は突然身動き取れなくなった自身の身体に狼狽える。








「っなん……だ、急に、から……だが……」








 男達の動きを封じるものは、何もない。ただ、一ミリたりとも身体が動かないのだ。



 男達は目だけを動かして三人を見下ろすが、手足をキツく縛られている三人に動きはない。動けない男達を見上げて、少女の口角が艶かしく弧を描く。





「お…おまえが、な、にかした……の、か……っ?」



 


 たらりと冷や汗が流れ落ちる男達に、少女はまたゆっくりと口を開いて____





































「____"(ばく)"」




 皮膚が破裂するような、鈍い音が廃ビル中に響き渡った。





 男達の身体が内側から弾けるように破裂すると、真っ赤な血を吹き散らしながら男達の身体は力無く地面に倒れ落ちた。その飛び散る死体に白髪の少年が「わーお、大胆」と感嘆の声を漏らす。



















「"(かい) (じょ)"」



 少女がそう言ってまたひとつ声を発せば、三人をキツく縛り上げていた縄が独りでにハラハラと解け落ちた。




 自由になった三人は慣れた様子で立ち上がると、瞬く間に死体と成り果てた男達を見下ろしてそれぞれに妖艶な笑みを浮かべる。





 

「あーあ、可哀想。死んでも美しくなれないなんて」



 そう言って、白髪の少年は口に手を当てながら堪え切れないとでも言うように笑いを零す。







「死ぬ時ぐらいは派手じゃないとなぁ?」



 まるでゴミを見るかのように、長髪の男が死体を見下ろして口角を上げる。








「言葉さえあれば、人なんて簡単に殺せるもの」



 チリンっと鈴の音のような少女の声が、冷酷な言葉を吐く。少女の姿には似つかわしくない妖艶な唇が、艶かしく弧を描いた。










 横たわる死体を踏み越えて、三人は窓へと足をかける。









 窓の外では、月明かりが妖しく夜の世界を照らし出している。



 それはまるで、彼ら三人をこの世界が歓迎するかのように。













 少年は綺麗に切り揃えられた白髪を風に靡かせながら、ゆっくりと口角を上げる。


 


























「____さあ、美しい世界を作りに行こうか」































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