第十三話『-心道編- いつの日か心中して』其ノ漆
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学園が管理する霊園は、この学園が一望出来る丘の上にあった。
辿り着いた霊園は風通りが良くて、空気がとても澄んでいた。思っていたよりも沢山並んだお墓の数に驚いたけど、これが創一郎君の言っていた「御役目で死ぬのは良くあることではないけど、珍しいことでもない」ということなのだろう。
綺麗に整列されたお墓の間を通って、僕は笑子ちゃんの名前が彫られたお墓の前へと腰を下ろした。目の前の笑子ちゃんのお墓には、綺麗な花やお菓子がお供えされている。その事実に、僕は小さく笑みを零した。
僕は手を合わて、そっと目を閉じる。
風が木々を揺らす音だけが聞こえて、遠くで微かに騒がしい学園の音が聞こえる。笑子ちゃんの声は、もうこの世界には聞こえなかった。
程なくして、僕は静かに目を開ける。
"「でも死んじゃったら、その人にとっては傷跡になっちゃうよ」"
いつの日かの、笑子ちゃんとの会話が忘れられない。
"「その人の為に死んで見せて、一生消えない傷跡になってしまえば、きっとその先別の人と結ばれてもその傷跡があれば忘れられないの。
その人の中で一生消えない傷跡として刻まれる事が出来るのよ。
そんなのまさに、究極の愛じゃない___?」"
記憶の中の笑子ちゃんだけが、僕に話しかける。
「……本当に傷跡になっちゃうなんて、やっぱり笑子ちゃんは凄いや」
苦し紛れにそう伝えてみても、笑子ちゃんは返してはくれない。
だから、僕も笑子ちゃんに一方的に伝える事にした。
"「そういうアンタはどうなのよ」"
"「うーん……、僕は__」"
あの時、返そうとした問いを今から伝えるから。
"「____私、アンタの傷跡になりたい」"
そんな究極の愛を吐いた君に、僕の究極の愛をあげる。
「____ねえ、笑子ちゃん」
君に、僕の身体も、心も、人生も、僕の何もかもをあげるよ。
太陽が眩しく輝いて、雨の跡はもう何処にもない。笑子ちゃんがいなくなった雨が過ぎ去って、季節は巡ろうと夏の訪れを告げる。
僕がどう足掻いても、それは変わらないみたいだからさ。
そっと、あの日と同じように笑子ちゃんのお墓に向かって手を伸ばす。
だからさ、笑子ちゃん____
「僕と、いつの日か心中して____」
第十三話『-心道編- いつの日か心中して』-心道編 完-




