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ゲーム配信者とアイドルの恋  作者: りんぴろ
第3章 それぞれの道と変わらぬ想い
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89話 偶然の出会い

その週の土曜日の午後、佳代子は明日の祐樹宅に行くため何かお菓子を買おうと都内のデパートに来ていた。

何も手ぶらで行くわけにも行けないので、少し高めのお菓子を買おうと専門店が多く並ぶデパ地下まで行くことに決めていた。

どんなお菓子が良いか考えながらぶらぶらと探索しているとロールケーキ店を見つけた。

普通のケーキであればその日に買って持って行く方が良いが、ロールケーキならまだ日持ちがすると考えた。

佳代子が店に入ると店員が声を掛けて来た。


「いらっしゃいませ」

「すみません。この中で人気の高いロールケーキはどれですか?」

「それでしたらこちらのイチゴと生クリームが入ったロールケーキになります。」

「明日に持って行こうと思ってるのですが、賞味期限とか大丈夫ですか?」

「それでしたら冷蔵庫に入れて頂いたら2,3日は大丈夫です。」

「そうなんですね。ではこれを3つ下さい。」

「はい、ありがとうございます。」


店員がロールケーキを箱に詰めると、「念のために保冷剤を入れておきますね」

「ありがとうございます。帰るのに時間が掛かるので少し多めにしてもらえますか?」

「どれくらいになりますか?」

「4時間くらいかな?って思います。」

「でしたら3つ入れておきます。」

「ありがとうございます。」

「では3つで1980円となります。」

佳代子が財布から2000円を取り出し店員に渡した。

「20円のお釣りです。お確かめ下さい。」

「ありがとうございます。」


支払いを済ませた佳代子は、デパート近くの喫茶店で休憩することにした。

朝から歩き回ったため少し疲れていた。

喫茶店の中に入るとモダンな雰囲気の良い感じであった。

「いらっしゃいませ。おひとり様でしょうか?」

「はい」

「お好きな席にお座りください。」


佳代子は少し奥まった席に座った。

店員が水とおしぼりを持ってきて注文を確認した。

「アイスコーヒー1つお願いします。」

「アイスコーヒーですね」

「少々お待ちください。」


店員が去ったあと佳代子はスマホで明日の祐樹の家の位置情報を確認していた。

すると隣の2人組の女性の声が聞こえて来た。

「明日はMTIテレビの収録があるから・・・・」


佳代子が気になり振り向くと

1人は20代の綺麗な女の人で、もう一人は後ろ側しか見えないが、黒ぶちのメガネと帽子を被っていた。

何か姉と妹の会話なのだろうと気にしないでスマホを再度見ていると店員がアイスコーヒーを持ってきた。


「アイスコーヒーとこれはミルクとシロップになります。」

「ありがとうございます。」

「ごゆっくりどうぞ!」


佳代子はそのままスマホを見ていたが、どうも祐樹の家の位置がわからないので、LINEで確認を入れた。

しばらくすると佳代子のスマホに着信があった。

画面は相沢祐樹


「もしもし。祐樹君?」

「ちょっと今喫茶店にいるからあとから電話するね」と小声で言った。

そのまま電話を切りふと見ると、隣の席の女の人が振り向いてこっちを見ていた。


佳代子もその人を見ると目が合った。

向こうは何か気まずそうな感じで前を向直した。

佳代子もふと思った。

「HIKARIさん?」

黒縁のメガネを掛けて帽子を被っているが、間近で目が合えばファンならわかる。

「多分HIKARIさんだぁ」

その時、先ほど自分が祐樹という名前を呼んだことに気づいた。

「あっ、HIKARIさんは祐樹君の元カノだよ・・・。」

「どうしよう」

「だから振り向いたんだぁ」

そう思うとますます気になった。


佳代子は勇気を出して声を掛けた。

「すみませんが、HIKARIさんでしょうか?」

向かいの綺麗な女の人はこっちを向いた。

何か相談している感じ。


その時、HIKARIが後ろを向いた。

「はい、HAKARIです。」

「やっぱりそうなんですね。凄くファンです。この前のファンイベントも行きました。」

「そうなんですね。ありがとうございます。」

「これからも頑張って下さい。」

「ありがとうございます。」


佳代子は祐樹のことは言い出せなかった。

するとHIKARIがこっちを見つめながら、ひとこと言った。

「島田さん?」


佳代子は自分の名前を呼ばれたことに凄く驚いた。

「あっ!はい・・・」

「やっぱりそうなんですね」


佳代子はどう対応して良いかわからず、無言になってしまった。


するとHIKARIが、「相沢君知っていますよね」

「あっはい」

「相沢君、元気していますか?」

「はい、元気です。あのー大丈夫なのかな?祐樹君からHIKARIさんが祐樹君や早苗さんのお友達って聞きました。」

「ご存じでしたか?」

「はい、この前のファンイベントの時に早苗さんが控室に行くって聞いて、その後祐樹君から聞きました。」

「そうなんですね」


「あっ!私祐樹君とはセミナーで出会っただけの友達で、それ以上の関係はありません。」

一瞬沈黙があった。


「ありがとうございます。」

「これからも応援よろしくお願いします。」

「はい!」

佳代子は凄く緊張した感じで対応した。


----------- 星 SIDE -----------------


星は都内での打ち合わせの合間にマネージャーのさやかと喫茶店に来ていた。

いつもの様にメガネと帽子を被り、周りにバレないように変装していた。


「星ちゃん明日はMTIテレビの収録があるから、またホテルに泊まることになるよ」

「はい、お母さんには連絡しているので大丈夫です。」

「そう、それなら良かった。」


そんな会話をしていると、隣の席の人の携帯に着信が掛かった。

星はいきなりの音に少しびっくりした。

その後、知ってる名前が聞こえた。

「祐樹君・・・」


「えっ」星は一瞬どきっとした。

そして思わず隣の席の女の人を見てしまった。

するとそこには、数週間前に祐樹と喫茶店にいた女に人の顔があった。

「えっこの人、祐樹と一緒に居た人」

星はびっくりして、しばらく放心状態となった。

しかし、慌てて目を背けた。

「星ちゃん、どうしたの?」さやかが小声で言った。

「この前、元彼といたって女の人・・・」

「えっそうなの?」

「この前楽屋に早苗が来た時に、名前も聞いた。確か島田さん」

「そうなんだぁ」


そんな会話をしていると、隣から「HIKARIさんでしょうか?」と聞こえた。

さかかはその女性を見た。

「HIKARIってバレちゃったみたいだね」

「振り向いても大丈夫ですか?」

「そうだね、大丈夫だと思う。」


星は振り向いて、「はい、HAKARIです。」

その後の会話は、早苗からその女性も私のファンと聞いていたから普通に接することが出来た。

しかし、会話が終わった時に思わず言ってしまった。

「島田さん?」


向こうは凄く驚いた表情をした。

その後、星は関係を確かめる様に「相沢君知っていますよね」と言ってしまった。

ずっと心でもやもやがあった。

早苗からはセミナーで出会っただけの友達って聞いている。

でも自分で確かめたかった。


その後、女性から出た言葉は、自分と早苗、祐樹との関係性を知っているという内容であった。

それは想定した言葉。

でも星はそんなことより違う言葉を待っていた。

祐樹と自分の関係が知らない限り出てこない言葉を・・・


「あっ!私祐樹君とはセミナーで出会っただけの友達で、それ以上の関係はありません。」

一番聞きたかった言葉。

星はホッとして、今までのもやもやが少し解放された一瞬だった。


少し冷静になった星は、「ありがとうございます。」と返した。

それは島田さんが祐樹と自分の関係を知っていて、放った言葉と受け取ったからである。


「これからも応援よろしくお願いします。」


星は再度自分のテーブルの方に向き直った。

「星ちゃん、大丈夫?」

「はい」


どの後、星は今日の出来事と島田さんの顔を決して忘れないだろうと思った。


読んで頂き、ありがとうございます。

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