86話 高級寿司店での食事
今日の仕事が終わり星とさやかの2人は、岸本美優との食事に行くためお互いの部屋で準備をしていた。
少し緊張気味のさやかは、シャワーを掛かり終えると再度化粧をし直し、仕事の途中で購入したドレス風のワンピースに着替えた。
星もシャワーを終えると、髪を乾かし少し薄目の化粧を行った。
時間は18時50分、先にさやかがホテルのロビーにいた。
「あっ、さやかさん遅くなってごめんなさい。」
「私も今来たところだから」
「そのワンピース凄く似合っています。」
「ありがとう!」
「今日の食事ってどこに行くんだろう?」
「さっき電話があって、生ものとか大丈夫って確認がありました。」
「そうなんだね」
「さやかさんも一応大丈夫って返しときましたけど、大丈夫でしたよね?」
「私も大丈夫よ」
「良かった。」
さやかが時計を見ると19時になっていた。
1人の女性がホテルのロビーに入って来た。
「HIKARIさん」
「はい」
「私、岸本美優のマネージャーをしています刈谷茜と言います。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。」
さやかが声を掛けた。
「私、HIKARIのマネージャーをしています新道さやかと言います。」
「新道さん!私、新道さんには会ったことがあるんですよ!」
「え、そうなんですか?」
「その話は、食事の席で行いましょう!タクシーを待たせてるので行きましょう!」
「はい」
3人はホテルを出た。
ホテルのロータリーにタクシーが停まっていた。
中には岸本美優が乗っていた。
「美優さん、遅くなってごめんなさい」
「大丈夫だよ」
「それでは行きますか?運転手さん、よろしくお願いします。」
「あらためて、今日はお疲れさまでした。」
「お疲れさまでした。」
「美優さんはあの後どうされたんですか?」
「私は今出ているドラマの打ち合わせがあったので、そこに参加してましたよ。HIKARIちゃんは?」
「私はTV局での打ち合わせでした。」
「お互い忙しいね」
「いえ、美優さんほどではありません。」
「ところで、今日はどこで食事するんですか?」
「ちょっと銀座のお寿司屋さんで」
「えっ!」
星とさやかが顔を合わせた。
「心配しなくて大丈夫だよ。今日は私のおごりだから」
「そんなぁ悪いです。」
「芸能界は先輩がおごるものだから気にしないで!それに今日は私が誘ったんだからね」
「えーありがとうございます。」
20分ほど走ると目的の場所に到着した。
銀座の外れにある日本風の建物があった。
「どうぞ!」
「はい」
3人は美優の後をついて行った。
中に入ると着物の女の人が立っていた。
「岸本様、お待ちしていました。」
「女将、ありがとう」
「こちら言っていたHIKARIちゃん」
「HIKARI様、今日はお越し下さってありがとうございます。」
「ここは私の行きつけの寿司屋だから気を使わなくて大丈夫だよ」
「そうなんですね。凄い」
「では、席まで案内します。」
4人は女将について行き、店の奥の個室に案内された。
8畳ほどの個室は、真ん中にテーブルがあり堀こたつ風になっていた。
窓の外は日本庭園がライトアップされていて、とても素敵な場所であった。
「飲み物はどうされます?」
「HIKARIちゃんはソフトドリンクで烏龍茶でもよい?、新道さんはアルコール大丈夫?」
「大丈夫です。」
「私も烏龍茶大丈夫です。」
「じゃあ新道さんはビールでも良い?」
「はい」
「じゃあ生ビール3つと烏龍茶1個で」
「かしこまりました。」
そう言うと女将が個室の扉を閉めた。
「凄いところですね」
「ここは私の知り合いが大将をしている店だから、いつも友達と知り合いとかでか一緒に来ているところなの」
「さすがですね」
「HIKARIちゃんもそのうちこう言う行きつけの場所が出来るよ!」
「それは流石に信じられません」
「まぁお酒が飲めるようになったらだね」
「それなら当分無理ですね」
4人は笑った。
直ぐに寿司職人風の若い男の人が飲み物と前菜を持ってきた。
「岸本様、いつもありがとうございます。」
「はい、大将によろしく言っておいて!」
「かしこまりました。」
「あっ!この方は大将の息子さん」
「岸本様には、いつもごひいきをさせて頂いております。」
「今日の前菜は何?」
「生ウニとゴマ豆腐の和え物です。」
「美味しそうだね」
「ありがとうございます。」
「何か御用があればいつでもおっしゃって下さい。失礼します。」
大将の息子が個室の扉を静かに閉めた。
「さあ乾杯しましょう!」と美優が言った。
「HIKARIちゃんのデビューのお祝いと今日の打ち合わせのお疲れ会と言うことで、乾杯!」
「乾杯!」
4人はそれぞれグラスを合わせた。
「そうだ、茜は新道さんを知っていたんだよね」
「はい。先ほどもその話をしていて」
「すみません。私覚えていなくて」
「私ね、LRBにいたんですよ」
「えっ!」
「LRBって?」星が尋ねる。
「私の前にいたプロダクション事務所」
「でも被っていたのは数週間だけですけどね」
「凄くやり手の若いマネジャーがいてって後輩に教えてもらったのが新道さんで」
「何度か事務所ですれ違っていたらいいです。」
「でも何か直ぐに異動されたからどうしたんだろう?って思ってたら、噂でHIKARIさんのマネージャーになるために群馬に行ったって!凄く有名だったよ」
「そうなんですね。知りませんでした」
「その後、私も異動して今は美優さんのマネージャーって感じだけど」
「世間は狭いって感じだね」
「そう思えば、HIKARIちゃんと私が出会ったのも奇跡みたいなもんだからね」
「あの時はお世話になりました。」
「それはこっちだよ。あの後別のCMでも私が出る様になって、あの曲のおかげだからね」
「ありがとうございます」
そんな話をしていると料理が運ばれてきた。
それぞれ高級食材を使用したお寿司が、4人分並べられた。
「凄い!こんなお寿司見たことない」ってさやかが話すと星も
「私、お寿司って言ったら回転寿司くらいしか行った事がないから」
「スシローとかだね」
「美優さんも行くんですか?スシロー」
「さすがに行かないかな?でもテイクアウトで買ってきてもらって食べたことはあるんだよ」
「そうなんですねぇ」
「さぁいっぱい食べてね」
「ありがとうございます」
星が一貫食べると、「凄く美味しい!」
「でしょう!ここのお寿司は本当に美味しいの!朝一に漁港から新鮮な魚が届くから最高なのよ」
「本当に美味しいです。」とさやかも絶賛した。
「いつでも言ってもらったらご馳走するからね。」
「いえいえ、こんなに美味しいの年に1回ぐいらいで十分です。」
また4人が笑った。
しばらく雑談をしながら食事を楽しんだ。
「そうだ、この前初イベントをしたんだよね。」
「はい」
「大成功だったって聞いたよ!」
「はい、ありがとうございます。」
「その時に霧島って人いたでしょう?」
「あっ!はい!」
「その人と私知り合いで、舞台とか何回も行ったことがあるんですよ」
「そうだったんですね」
「舞台女優にならないって言われなかった?」
「言われました。」
「でしょうね。この前に会った時にそう言ってたから」
「でも自分は今は歌で精いっぱいで」
「それは知ってるよ。でも舞台女優って普通のテレビで出ている女優より数倍楽しいから・・・。ライブでお客さんの前で演技するからね」
「そうなんですね」
「余裕が出来たら考えてみたら?」
「はい、わかりました。」
その後も雑談と食事を楽しんだ。
「さぁそろそろ行きましょうか?」
「はい、お腹いっぱいです。」
「それは良かった。」
「茜、支払いを済ましてきて!」
そう言うと岸本はプラチナカードを刈谷さんに渡した。
さやかはプラチナカードを見て目を丸くした。
その後、支払いを済ました刈谷さんが戻って来た。
さやかが小声で刈谷に聞いた。
「茜さん、本当に支払い良いんすか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ちなみに1人いくらぐらいの食事なんですか?」
「えっ!美優さんには言ったって内緒ですよ。」
「はい」
「まぁ2~3万って感じで・・。」
「やっぱり凄い!」
さやかは到底味わったとこが無いと心から実感した。
「さぁ行きましょう!」
「今日はご馳走様でした。」
4人は店を出た。
店の前にはタクシーが2台停まっていた。
「じゃあHIKARIちゃん、またね」
「今日はありがとうございました。」
そう言うと、岸本と刈谷は前方のタクシーに乗り込んだ。
星とさやかは後方のタクシーに乗った。
さやかが運転手に行先を告げると、「承知しております。また支払いも済んでおりますので」そんな言葉が帰って来た。
いたれりつくせりの岸本の行動に頭が上がらない2人だった。
読んで頂き、ありがとうございます。
流石有名女優となるとこれくらいの食事は当たり前なのでしょうね。
HIKARIにもこれが当たり前の時期が来るのでしょうか?
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