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ゲーム配信者とアイドルの恋  作者: りんぴろ
第3章 それぞれの道と変わらぬ想い
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82話 ファンイベント1

HIKARIのファンイベントの当日、祐樹は秋葉原の駅の改札横で早苗を待っていた。

休日とあって、その日も秋葉原の駅は人であふれていた。

祐樹はスマホを片手に壁に寄りかかり今日のイベントの内容を確認していた。

しばらくすると改札から早苗が姿を見せた。

早苗も祐樹を見つけると人を掻き分けながら走って近づいてきた。

短い距離にも関わらず何度も人とぶつかりながら走って来た。


「祐樹君、遅くなってごめん!」

「いや、自分も今来たとこなので、それより大丈夫、いろいろぶつかっていたけど・・・」

「うん、大丈夫!ありがとう」


早苗が周りを見渡し「でも秋葉原って凄い人だね」と驚きながら言った。

「土曜日だしね。特に多いと思う」

「そうなんだぁ。私あまり秋葉原には来たことがないから・・・。そんな感じなんだね」


「時間は大丈夫?」

「会場のウイングプラザまでは歩いて20分だから開場までには余裕で間に合いますよ」

「じゃあちょっとコンビニで飲み物買って行ってもよい?喉乾いちゃって!」

「はい、大丈夫です。」

2人は駅近くのコンビニに入った。


コンビニに入ると早苗のリックの大きさを見て。

「早苗さん、何か荷物多くないですか?」

「あっ!星に会うんだからってお母さんが色々準備したの?なんか佃煮とか、煮物とかの袋詰め」

「そうなんだぁ」

「祐樹君は本当に会わなくても良いの?」

「はい、自分は星に会わない方が良いと思うので・・・」

「そっか!分かった!」

早苗が飲み物コーナーの扉を開けて、「これにする」ってオレンジジュースを手に取った。

「祐樹君は何もいらない?」

「はい、自分は大丈夫です。」

「なら買って来るね」そう言うと早苗がレジに向かった。

早苗の支払いが済むと、2人はコンビニを出てウイングプラザに向かった。


ウイングプラザに近付くと人がかなり多くなった。

年配の人、学生服を着た人、いろんな人がウイングプラザに向かう道路横に立っていた。

「えっ!もしかしてこの人達、みんな星を見に来たの?」

「僕もわからないけど、そうみたいだね」

「凄いなぁ」

「うん」

「ちょっと行くの大変みたいだね」

「でも行かないとね」


「すみませーん。通りまーす。」

2人は人込みをかき分けながらウイングプラザの前まで来た。

「何人くらいいる訳?」

「1万人ぐらいいるんじゃないですか?」

「こんないっぱい入れないよね」

「確か2,000人って書いてありました。」

「と言うことは入れない人がほとんどかぁ?」

「それでも来たいって思うんだろうけど・・・。」

「本当に人気凄い」


しばらくすると、スタッフが出て来てウイングプラザの前広場にロープで囲いを作り始めた。。

スタッフが拡声器を持って話し出した。

「すみませんが、チケットをお持ちの方はこちらにお願いします。」

「チケットをお持ちでない人はすみませんが、お引き取りをお願いします。」

「道が混雑して、近隣の方に迷惑になっています。」

「混乱するとイベントの開催自体も出来なくなりますので、すみませんがご配慮お願いします。」

「みんなでHIKARIさんの初イベントを成功させましょう!」


そう言うと、人が移動し始めた。

駅方面に向かう人、反対側に向かう人、しばらくすると道路にいた人も半分ほどが居なくなった。

祐樹と早苗もスタッフの指示通りに移動した。


20分ほど待っていると、再びスタッフが拡声器で話し出した。

「そろそろ開場の時間になりますが、入場は3列に並んでお願いします。」

「中に入ると、スタッフにチケットを見せてバーコードリーダーで読み込みをさせて頂きます。」

「画面にOKと言う表示が出たら、その時点で、入場が可能となります。」

「不正を防ぐためのものですので、よろしくお願いします。」

そう言うと、さっきまでばらついて待っていた人が3列に並びだした。

2人もそれに従った。


開場の時間になって、3列になった人は順番にウイングプラザの中に入って行った。

5分ほどして、祐樹達の順番になった。

「チケットをお願いします。」

「はい!」

スタッフがチケットにバーコードリーダーを当てた。

画面にOKの表示が出た。

「OKですので、入場お願いします」

2人は中に入ると、あちらこちらに星のポスターが貼られていた。


「祐樹君、グッズコーナーもあるよ!」

「本当だ!」

2人はグッズコーナーに向かった。

そこでも順番待ちの長い列が出来ていた。

「祐樹君何買う?」

「とりあえずタオルとペンライトですかね」

「じゃあ私はTシャツも買おう!」

「祐樹君も買わない?」

「ちょっと恥ずかしいですね」

そんな会話をしていると、祐樹を呼ぶ声が聞こえた。

祐樹が振り向くと、そこに島田佳代子が友達と来ていた。

「やっぱり祐樹君だ!」

「佳代子さん?」

「そう!」

「こんなところで会うなんて驚きました。」

「そうだね」


佳代子は早苗を見ると、「新しい彼女さん?」

「いえ、学校の友達です。」

「そうなんだぁ」

早苗が「祐樹君の知り合い?」

「あっ!この前セミナーで一緒になった人」

「そうなんだね。」

「初めまして!私祐樹君の友達の坂口早苗です。」

「島田佳代子です。」


「祐樹君もHIKARIのファンだったんだね」

「あっ!まぁ」

「私もデビュー以来凄く好きで応援してるの。ファンクラブにも入ってるんだよ」

「そうなんですね」

「私も入っています。」と早苗が答えた。

「祐樹君は?」

「僕は入ってないです。」

「そっか!」

「でも女の子と二人で来るなんて、本当に仲が良いんだね」

「まぁいろいろありまして」

「そこらへんは今度聞かせてね」

「じゃぁ私は友達が待っているから行くね。」

「ではまた!」


早苗が祐樹の顔を見て、「凄く綺麗な人だね。セミナーでそんなに仲良くなるもの?」

「まぁいろいろありまして・・・。」

「そうなんだぁ」

「あっ!佳代子さんは彼氏いるから・・・遠距離って言ってたけど・・・」

「へーそうなんだぁ」

早苗は何か不満そうに言った。


ショップでグッズを買った2人はホールに入った。

ステージはまだ電気がついていないが、楽器等が見える。

その上にスクリーンと風船で「HIKARI FIRST EVENT」と書かれていた。

「私、中央の方だから先に行くね」そう言うと早苗が歩いて行った。


「えっと!自分はあそこらへんかな?」

祐樹も自分の席に向かった。

席に座って、しばらくステージを見ていると、まだ売れていない時に秋葉原でのライブを思い出していた。

「あの時は半分ぐらいがさくらだったのに・・・」と周りを見て思った。

いつの間にかホールは人でいっぱいになり、空席は無い状態となった。


30分ほどすると音楽が鳴りだし、ステージ上にライトが照らされた。

スクリーンにカウントダウンの数字が表示され、それに合わせて会場のみんなが数えだした。

「10、・・・5、4、3、2、1」

ステージにHIKARIが現ると、みんなは一斉に立ち上がり歓声を上げた。


「みなさーん。こんにちはぁ。HIKARIでーす。」

星がそう言うと、また歓声が上がった。

「今日は私の初イベントに来て頂いてありがとうございます。今日は楽しんで行ってください。」


祐樹は久しぶりに見る星の生の姿と声に鼓動が激しくなった。

そしてみんなと一緒に立ち上がり、盛り上がった。

「後ろの人も見えますかぁ?」

「はーい」みんなが答える。

初回から会場は大歓声となった。


「では、まず私の曲を1曲聞いて下さい。新曲の『HIKARI』です。」

そう言うとバンドメンバーが出て来て、演奏を始めた。

それに合わせて、HIKARIも歌いだした。

開場は一気に盛り上がり、みんなペンライトやタオルを頭上に上げて声援した。

秋葉原で初めて聞いた時と同じクリーンな高い声、それが前回とは違って大歓声とシンクロしていた。

1曲が終わった。


「今日は本当にありがとうございます。」とHIKARIは頭を下げた。

「デビューして初めてのファンの皆様の前で歌うことが出来て本当に幸せな気分です。」

「実は、1年前に秋葉原では歌ったことがあるんです。」

「その時はまだ無名な状態だったから、ここにいる方は誰も知らないと思うのですが、秋葉原のステージで歌うのは2回目でーす。」

開場からは、「えー見たかった!」「その時のHIKARIさんを見たい」など歓声が上がった。

祐樹は「自分はその時から知っているんだけど・・・」と思っていた。


「ではここからは、進行役をお願いしていますアナウンサーの方を紹介します。」

「北原さん、どうぞー!」

「こんにちは、TMSの北原です。よろしくお願いします。」

「北原さん、よろしくお願いします。」HIKARIが改めて頭を下げた。


そこからしばらく進行役の北原さんとのトークが20分ほど続いた。

その後2曲目の歌、トークを挟んでイベントが進んで行った。


時間がたつのも早く、イベントも終盤になっていた。

「では最後はデビュー曲の『希望の一歩』を歌いまーす。」

「みなさん、聞いてください。」

曲が流れて星の声が響く。

『希望の一歩』の生歌。

祐樹が生で聴くのは3回目、秋葉原での初めてのライブとまだ無名の時の路上ライブ

祐樹の目に涙が滲んできた。


曲が終わりHIKARIが深く頭を下げた。

「本日は本当に来てくださってありがとうございます。」

「秋には全国3か所でライブも予定しています。

「また、その時に会いましょう!」

そう言うと大歓声が上がり、「絶対行く!」「必ず行くからね」などの声援が飛び交った。

そんな中で、イベントは終了した。


開場ではしばらく立ち上がる人がいなかった。

場内のアナウンスが聞こえ、「これにてHIKARI FIRST EVENTは終了します。」

「順番に退場をお願いします。」と流れた。


みんながぞろぞろと退席を始めた。


その頃、裏では星が

「HIKARIさん、最高でした。お疲れさまでした。」とスタッフから声を掛けられていた。

社長の岩永、美香、さやかも拍手で星を迎えた。

「星ちゃん、お疲れ様!」

「最高だったよ!」

「本当に!よかった!」

「やっぱり最初は凄く緊張してました。足ががくがくしてたんですよ」

「えーそうなの?全然そんな風に見えなかったよ」

「良かったです。」


控室に入ると、館長の木村、イベント指揮の霧島も順番に控室にやって来て、ねぎらいの言葉を掛けた。


読んで頂き、ありがとうございます。

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