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ゲーム配信者とアイドルの恋  作者: りんぴろ
第3章 それぞれの道と変わらぬ想い
74/93

72話 HIKARIとユピネス

次の日は梅雨の前線が北上していたため、朝から激しい雨が降っていた。

その関係で、夕方から空は黒く街灯がない場所は夜中を思わせる様な雰囲気を出していた。

その中で他と違う明るさの漏れているビルの2階で、星と秘書の美香、星のマネーシャーのさやかの3人はまた芸能プロダクションの事務所の会議室に集まっていた。


星が窓の外を眺めている。

「今日は1日中雨ですね」

「本当だよね」と美香が答える。


「みなさんとりあえずコーヒーでも飲みましょう。」

星のマネージャーのさやかはみんなにコーヒーを配っていた。

「さやかさん、ありがとうございます。」

「気を使わせてごめんね」

「大丈夫ですよ」

そう言いながらコーヒーを配り終えたさやかも椅子に腰掛けた。


5分ほどすると社長の岩永が会議室に入って来た。

スーツのズボンの膝から下はかなり濡れた状態で、スーツの袖も濡れていた。


「社長お疲れ様です。」美香が一番に声を掛ける。

「かなり濡れていますね。大丈夫ですか?」

「凄い雨だったからね。」

「とりあえずこのタオルで拭いてください。」と美香が岩永にタオルを渡した。

「美香さん、ありがとう」

岩永がスーツの上着を脱ぎ、濡れている手をタオルで拭き取った。


「みんな仕事が忙しいのに連日集まってもらって申し訳ないです。」初めに岩永から謝罪の言葉があった。

「いえ、社長の方こそ仕事量が多いのは分かってますから、大丈夫ですか?」

「自分は仕事が好きでしてるのでこれくらいは平気だよ」

「社長はこの仕事が本当に好きですからね」

みんなから笑顔がこぼれた。


岩永が座ると、「では始めますか?」

「はい」みんなが答える。

「星ちゃん!ユピネスさんのメールアドレスは解った?」と美香が尋ねる。


星が床に置いていたかばんを膝の上に載せ、かばんから白い携帯を取り出した。

「はい、古い携帯の履歴に残っていました。これです。」と星が古い携帯の画面をみんなに見せる。

それをみんなが覗き込む様に見た。


「これが有名なゲーム配信者のアドレスなんだね」

「じゃあメール送れますね。」とさやかが話す。

「そうですね」

「ちゃんと返信してくれるかな?」

「とりあえず送ってみましょう!」

「そうですね」


「こんな感じで送ろうかと考えて来たので、確認してもらってよいですか?」

星が自分の携帯のメールの下書きを開いてみんなに見せた。



--以下メールの内容--


 こんばんは。

 ご無沙汰しております。HIKARIです。

 急にメール送って申し訳ございません。

 実は、ユピネスさんがオープニングで使用されている私の曲の件で、一度ご相談をさせて頂きたいと思っています。

 可能ならご返信頂けたら助かります。

 よろしくお願いします。


--以上--


「星ちゃん、よく考えたね。最初はこの内容で大丈夫と思うよ」と社長が言った。


「ではこの内容でメールを送信します。」

星が送信ボタンを押す。

「送信完了しました。」

「直ぐに返事が来るかどうかわからないけど、しばらく待ちましょう!」


---------------------------------------


その頃、祐樹の部屋では祐樹がゼネレーションLIVEのゲーム配信の準備をしていた。

ピッ!ピッ!

パソコンにメールの新着のマークが着いた。


祐樹がそれに驚く。

このパソコンへのメールはほとんど来なく、定期的に来るゼネレーションLIVEの事務局から来る程度であったためである。

「えっ!メール?」

「LIVEの事務局からかな?」

祐樹がメールアプリを開いた。


着信の名前を見て驚く。

[HIKARI]

祐樹は、前回にやり取りした時にHIKARIの名前でアドレス帳に名前を登録していた。


昨年以来メールのやり取りなんかしていなかった宛先からのメール、ましてやHIKARIは星であるからだった。

「えっ!HIKARIさん・・・」

「星からメール?」


その名前を見て、祐樹の心臓が一気にどきどきに変わった。

恐る恐るメールを開く。


 こんばんは。

 ご無沙汰しております。HIKARIです。

 急にメール送って申し訳ございません。

 実は、ユピネスさんがオープニングで使用されている私の曲の件で、一度ご相談をさせて頂きたいと思っています。

 可能ならご返信頂けたら助かります。

 よろしくお願いします。


ユピネスが祐樹としらない星からのメール、当たり前であるが他人行儀な内容。

でもその内容から今設定しているゼネレーションLIVEのオープニング曲の著作権問題とわかった。


「あっ!そっか!星がデビューしたから、自分が使用しているオープニング曲が使用できなくなるのか?著作権とかで・・・」

「多分そう言う内容だろうなぁ?」

「どう返したら良いかな?」


祐樹は久しぶりに星と会話することで、ちょっと頭がパニックになっていた。


「ちょっと落ち着こう!」

「ふーうーー」


祐樹は大きく深呼吸をした。


「えっと!とりあえず返信しないとな。」


動揺の中でも必死にメールの返信をパソコンに打ち込んだ。



 こんばんは。ユピネスです。

 ご無沙汰しています。

 デビューおめでとうございます。いつもテレビを観て応援しています。

 メールの件、著作権か何かで、今使用しているHIKARIさんの曲がオープニングで使用できなくなったって言うことですよね。

 理解できますので、直ぐに削除させて頂きます。


祐樹はメールの内容を何度も確認し、送信ボタンを押した。



---------------------------------------


星がメールを送信してから20分くらいたった頃、星の携帯にメール着信音が鳴った。


着信[ユピネスさん]


「あっ!返信ありました。ユピネスさんからです。」

「なんて内容なの?」

「読みますね」


「こんばんは。ユピネスです。ご無沙汰しています。」

「デビューおめでとうございます。いつもテレビを観て応援しています。」

「メールの件、著作権か何かで、今使用しているHIKARIさんの曲がオープニングで使用できなくなったって言うことですよね」

「理解できますので、直ぐに削除させて頂きます。」


「こんな内容です。」

「ユピネスさん、著作権のことってわかってらっしゃるんだね」

「削除しますって来ましたけどどうします?」

「このまま削除してもらったら問題ないとは思うんですけどね。」

「それとも例の提案を持ち込むますか?」


全員が考えた。


しばらくして社長が話す。


「軽く昨日の提案内容を示して、一度会って話せないか聞いてもらえるかな?」

「わかりました。」

「では返信内容をみんなで考えてもらって良いですか?」

「美香さん、代案を作成してもらえるかな?」

「では私が代案を作成してみますね」


 ご返信ありがとうございます。

 いつも応援して頂きありがとうございます。

 ユピネスさんの使用している曲の著作権問題は返信頂いた内容の通りです。

 しかしこちらとして、もし今後もユピネスさんがHIKARIの曲を使用して頂けるなら、事務所として契約と言う形で結ばさせて頂くことは可能でしょうか?

 これはこちらから費用を請求するとかでなく、ユピネスさんへの使用権をこちらの事務所からお支払いさせて頂くとことを考えています。

 その件で、一度お会いしてお話をさせて頂くことは可能でしょうか?


「こんな内容でどうですか?」

「大丈夫だと思います。」

「では星ちゃん、この内容で送信してくれる?」

「わかりました。」


星が携帯のメールに美香の考えた文章を打ち込んだ。

打ち込み終わると何度も確認した。


「はい、入力しました。送信しますね」

「そうだね。頼みます。」

星が送信ボタンを押した。


---------------------------------------


ピッ!ピッ!

祐樹のパソコンにまたメールの着信マークが表示された。

祐樹がメールを開き内容を見る。


「会って話をしたい・・・」


その言葉で祐樹は星に会えることを想像していた。

心では星に会いたい会いたいと思っている反面、今ユピネスが自分とバレることは避けたい。

どうしようか?と考えていた。


「今日はゼネレーションLIVEをしている場合じゃないなぁ」

「どうするか?」

祐樹はじっくり考えた。


30分くらい考えたところで、音声だけで話をするのが良いんではないかと、ひらめいた。

「声でも星にバレるかも知れないけど、ソフトで声を少し変えることは出来る。」

昔、星がカラオケで低音で歌っていたのを思い出した。


「星と話せるチャンス、これで行こう!」

早速返信の内容をパソコンに打ち込んだ。


 メールおよびご提案ありがとうございます。

 ユピネスとしても、HIKARIさんを応援したいと思っています。

 それが出来るなら提案内容も問題ありません。

 しかし、費用は頂くことはできませんのでよろしくお願いします。

 直接会って話をすることは、すみませんができません。

 ユピネスがどの様な人物かを知られたくないからです。

 しかし音声のみ、例えばネット会議、Teams会議などで音声だけで話をすることはできます。

 如何でしょうか?

 可能なら2、3日後にその打ち合わせを希望します。


祐樹は音声ソフトの設定を決めないといけないと思い、本日でなく余裕を見て話したいと思っていた。


---------------------------------------


時間は20時を回ったころ、星の携帯にふたたびメール着信音が鳴った。

「ユピネスさんから帰ってきました。」

「どう?返信内容は?」

「えっと!会うのは無理って書いています。」

「多分ユピネスが誰かと言うのが知られたくないんでしょうね」

「でもネット会議の音声のみであれば良いって書いています。」

「えっと、2,3日後希望って!」


「それなら今度の金曜日当たりの夜にしましょうか?」

「時間は19時からぐらいで」

「星ちゃん来られる?」

「大丈夫です。」

「ではメールで確認しますね」


 返信ありがとうございます。

 では今週の金曜日、19時からで如何でしょうか?


星がメールを送信した。


直ぐに返信が来た。


「えっと、承知しました!と書いています。」

「接続先は向こうからこのアドレスに送るって書いています。」

「良かった!」

「ではそれまでに提案内容の企画書を作成しないとね」

「美香さん中心で作成お願いします。」

「わかりました。作成後確認をお願いします。」

「もちろん」


「お腹空きましたね。みんなで食事行きますか?」

「社長はどうですか?」


「自分はまだ仕事があるからみんなで行ってきなさい」

そう言うと財布から2万円を取り出し美香に渡した。

「社長ありがとうござます。」

「それならこの前のイタリアンにしますか?

「はい!」

「では準備して行きましょう!」



その頃祐樹も本日のゼネレーションLIVEを中止にして、打ち合わせに向けて、自分なりの提案を考えようと思った。。



読んで頂き、ありがとうございます。

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