加藤 詩音編 メイドインゴーレム その2
<異世界(加藤 詩音)サイド>
ご主人様もフェイも奴隷市場に出かけてしまった。私はご主人様が住まうデディアル様から借りている屋敷の離れを一生懸命に掃除しているのです。
掃除は日本にいた頃でも自分の部屋ぐらいでしたから、離れと言えども5LDKの掃除は大変です。この世界には掃除機などありませんから。掃除と洗濯の合間に、昼食の準備も始めないといけません。
ご主人様は犬亜人のゾンビ。フェイはスライム。どちらもベッドのシーツに体液がべっとりと付いてしまって洗濯が大変です。二人の体液の付いたシーツをクンカ、クンカ。ふふっ。フェイこと上野 栞の臭いも人間の頃と随分変わりましたよね。匂いの成分よりも、フェイが作る香りというのが重要なんですよ。クンカ、クンカ。あぁ…素敵。日本にいた頃では考えられませんが、ご主人様の匂いもフェイに負けていません。ごめん…フェイ…ちょっと浮気しています。
本日のお昼は、オーガ(子供)の熟成肉を香草と粗塩でじっくりと焼き上げた一品に、パンとコーンスープです。
「美味しそうな香りが外まで漂っていたぞ」
笑顔のご主人様の隣には、新たな奴隷が立っていました。私は奴隷を風呂場に連れて行くと、先にご主人様の食事をテーブルに並べます。
「本日の昼食は、香草焼きとコーンスープになります」
「うん。奴隷を頼むぞ」
「はい。かしこまりました」
ゴーレムの私は食事の必要はありません。しかし、一緒に食べることもできるのですよ、ご主人様。くっ…これがメイドの辛いところですね。
待たせていた奴隷の拘束具を外し、ボロボロの服を脱ぐように指示をするが、この奴隷は少し反抗的で、言うことを聞かない。ご主人様の奴隷であって、私の奴隷ではないため、戒めの魔法陣を発動させることができないが、男子の弱点をゴーレムも力で、デコピンする。
「あぁぁぁぁぁっっっ!!」奴隷の少年は床に蹲る。
「良いですか? 奴隷には…そこは不要です。破壊しても商品の価値は下がりません。指示に従えないのならば…」
「わ、わかった。た、頼むから…もう…やめてくれ…そ、それと…す、すこし…じ、時間を…痛くて…た、立ち上がれない…」
「わかりました」
蹲る少年の衣服を力任せに剥ぎ取り、持ち上げると湯船に放り投げた。
湯船に洗剤を入れると、乾燥したスポンジ代わりのへちまに似た植物で、ゴシゴシと少年の垢を削ぎ落とす。
「痛いっ!! あ、ああぁぁぁっ! も、もっとや、優しくっ!!」
半泣きの奴隷の言葉などに耳を傾ける時間はないのです。ご主人様達の昼食が終われば、後片付け、洗濯物の取り込み、残りの部屋を掃除しながら、また夕食の準備。
時間が何時間あっても足りないのに、こんな奴隷に時間をかけていられません。
ピカピカになった奴隷に服を着せて、ご主人様の前に立たせます。
「うん、どうだフェイ。思っていた以上に、イケメンではないか?」
「闘士にイケメン要素が必要ですか?」
「うん? 勝ち続けることができれば、イケメン要素が活きてくるのでは?」




