岩下 さくら編 アークと魔法の本 その18
<異世界(岩下 さくら)サイド>
アークと魔法のランプと三人で魔力について研究したの。
魔力が満タンの状態から、”炎の魔法:爆炎”を連続で放つと、三発で魔力欠乏症になった。弱い人間や魔物に爆炎を使うと効率が悪い。もっと弱い魔法で十分だ。
また私の本で言えば、支援系より事象系の方が魔力の消費が多い傾向にある。また魔法によっては、爆炎以上に燃費の悪い魔法があるので注意が必要だ。
商人のルーカスは、アンダとヒルクにクロスボウの使い方を教えている。二人もアークも、まだ子供だ。実際に人間を殺す…覚悟はないだろう…。
(シスター達を守るためならば、俺は…躊躇しないよ)
(コラッ! 勝手に魔法の本の思考を読み取るなっ!!)
(ははっ。ごめん、ごめん…)
アークは今までのように、予知で自分の行動に問題ないかを確認。探知でまわりの人間の居場所を確認。調査で空間の形を認識している。それに追加して、魔法のランプのマナ感知により、千里眼と同等の力を得た。つまり通常の人間よりもずっと視力が良く、目で認識する必要があった魔法も使えるのだ。
効果的には、空間認識は半径15mまで。生命探知は半径100m。危険予知は一分先。千里眼は実質2km先の人物の顔まで認識できるのだ。それに”空間:透視”にて、任意の物を透視する力を得て、アークは、通りの様子を確認していた。
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<異世界(新宮司 純)サイド>
冒険者vs盗賊団の戦いは、どうにか冒険者たちが持ち直し始め、徐々に盗賊団は数を減らしていた。
ヴァグナーは吸血鬼の技は使うなと言うけれど、こんな少女が素手で盗賊をぶち転がしているのも違和感がすごいと思うけど!?
あちらこちらから血の匂いが鼻腔をくすぐる。でも男臭くて苦手。この戦いが終わったら、お姉様が血をくれるのだから、こんな質の悪い血は不要だわ。しかし、ウェリルメルお姉様の護衛を一緒にしている、ハーフエルフのショタっ子…、汗の臭いとか…好きかも…きっと、血もサラサラで美味しいかも知れないと首筋をジッと見つめていると、私の視線に気が付いたのか。
「おい、変なこと考えていないだろうな…」と訝しげな顔で見られてしまった。
「ねぇ、後で吸血させてよ」素直にお願いしてみる。
「いや、無理」
「えっ!? 気持ちいいわよ?」
「お止めなさいハーデェレン」とウェリルメルお姉様に叱られる。
「はい…」
「メイダス、ハーデェレン。これだけの数を個別に治療していては間に合いません。範囲魔法を使います。護衛をお願いしますね」
聖女であるウェリルメルお姉様は、その美しく透き通る声で、長ったらしい詠唱を始める。戦場のど真ん中で、ヒーラーがヒールをする。敵に潰してくれと言わんばかりの暴挙だろう。




