大山 駿編 二級冒険者と加齢臭 その17
<異世界(大山 駿)サイド>
「なんだこりゃ」
オレが50%で打ち込んだ両手剣を、盗賊の下っ端如きが受け止めたのだ。こいつが持っている剣や盾はノーマルであって、魔法など符呪されていない。しかも素材は鉄や木だ。通常ならば剣や盾諸共体を真っ二つにしているはずだ…。つまりは…技術でオレの剣を受け止めていやがるのかっ!!
「どうした? 冒険者さんよっ!!」
驚いたことに、冒険者たちが押されている。オレ達が山岳地帯の抜け道を一番キツイと想定していたのは、騎士たちに追われて必死に逃げる盗賊たちを相手にしなければならないということであり、純粋に強いということは想定していなかった。
だが。「どりゃぁぁぁっ!」オレは全身の筋肉がほぐれ始めると、更に力強く早く両手剣を振る。盗賊たちはオレの剣に付いてくることはできず、次々と倒れていった。
ハーデェレンたちは、冒険者たちの更に後ろで、ヒソヒソ話をしていた。
「本当に脳筋て暑苦しいわね」
「あら、あれがヴァグナーの良いところよ」
「流石、お師匠様です」
その三人に向けて、冒険者を抜けて来た盗賊たちが襲いかかる。しかしハーデェレンたちは…。
「何よ、この馬鹿力、ちょっと痛いのだけれど?」
「お師匠様の戦い見てたでしょ。盗賊はちょい強めですよ。近づかれる前に倒さないと…」
「でも…私の敵では無いわね」
「二人共、遊んでないで、負傷者の治療が優先ですよ」
ウェリルメルがハーデェレンとメイダスを叱咤する様子を見て、あの三人ならば問題ないなと、オレは改めて、周囲の状況を確認する。盗賊は思ったよりも手練であり、それに数が多いが、統率が取れていない。
いや、少し違うな。さらに数人の盗賊を打ち倒したオレは、盗賊の練度に疑問を感じていた。強いと思ったのは、最初のやつぐらいで、後は…ステータスの値が、普通よりも高めなのか?
その疑問に答えは直ぐに出た。「こんな…異世界で…死にたくない…」と倒れながら呟く盗賊。つまり…こいつは…異世界に送り込まれた人間っ!? オレはたまたま冒険者で、こいつらは盗賊。ただそれだけの違いか…。転生者は…ステータスが高いのかっ!?
北条 彩乃っ!! お前は…なんてことをしているんだ…。
こっちの世界の悪人ならばヴァグナーの意志で叩き潰せるが、元日本人だと…大山 駿の意思が邪魔をする。不味い…心に迷いが…。
こいつらは、元々本格的な戦闘など経験がないのか、元日本人だからなのか、ここの盗賊団に忠誠を誓っていないのか、まぁ…兎に角、南側の王国騎士団が優勢だから逃げ出てきたワケでもないのだろう。
くっ…。嫌な予感がしやがるぜ。
オレたちも、この乱戦を切り上げて、奴等の根城に侵攻し、敵の背後をつかなければ。




