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根岸 太一編 定番販売で成り上がり その4

<異世界(根岸 太一)サイド>


ここは孤児院。今は昼食の時間。アーク以外全員が食べ終わっていて、アーク待ちなのだが、一言呟く。


「そろそろ、だよね…」


そう、冒険者ヴァグナーたちが盗賊団の撲滅のために、恐らく戦っている時間なのだ。シスター・ベルティーアとパメラが祈り始めると、アンダ、ヒルク、シルシーもそれに続いた。


それに一緒に食事をしていた私こと、旅商のルーカスも心から祈った。私は戦闘技術はないが、商人ギルドから金銭を引き出すと、冒険者ギルドに盗賊討伐依頼という形で寄付をしたのだ。


妻や息子、娘を殺した…あいつらに神の裁きを!!


長い祈りの中、街のあちかこちらから、叫び声が聞こえてきた。


足の早いヒルクとアンダが街の様子を確認してきた。


「大変だっ! 盗賊たちだよっ!!」


***** ***** ***** ***** ***** 

<異世界(関口 勝)サイド>


俺の長年の経験で培った勘が当たる。異世界に来たときに犯人が、北条 彩乃だとわかった。だが異世界で知ったところで、もう遅かった。帰る道は残されていたが、北条の魂を破壊するには、国一番の英雄とか…そんな力が必要なのだろう。


それに転生した先が盗賊団の長であった。異世界では盗賊、元々の世界では刑事。どちらの意思が勝つのだろうかと、いや…刑事という信念が勝つと信じていたが、俺は転生早々、人殺しをしてしまった。スカッとした気分だった。


一瞬で心が折れたよ。俺は運命を受け入れ、盗賊団の長として、悪逆の限りを尽くした。


その後も、次々と転生者が盗賊としてやってきた。俺達の盗賊団は日々大きくなった。8日病の追い風もあり、ダイテル王国でさえも、容易に手出しできない存在になった。だが、胡座をかいていたら、いつ寝首をかかれるか、わかったもんじゃない。俺は、王都ベスベスタの地下迷宮に目を付け、手下共を地下迷宮に放った。


だが、8日病で弱体化したはずの騎士団も冒険者ギルドも徐々に力を取り戻し、地下迷宮も謎の沈黙と共に停止したのだ。


「潮時だな」俺は、刑事時代の部下であった”東 真司”に告げる。


「馬鹿言うなよ、俺はまだやれるさ。ここまで大きくしたんだ。俺は逃げねーぞ。逃げたいなら、全部置いて、逃げなよ。命までは盗らねぇ。恩もあるしな」


「そうか…」


とある情報網から盗賊討伐の日時を知る。そして俺を信頼してくれる部下を王都ベスベスタの宿屋に潜ませておいた。


騎士団や冒険者たちが、王都ベスベスタを出るのを確認し、東率いる盗賊団との開戦と同時に、俺は宿屋に潜ませた盗賊たちを…街に放った。


最後の仕事だ。これが終われば、どこか別の国で、ゆっくりと余生を楽しく過ごそうじゃないか。


街のあちらこちらから、悲鳴が聞こえる。あぁ…俺を祝福しているようだ。


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