33-2話 世界最高峰の癒し手(side トキ)
「動いちゃダメ。背もたれに深く腰掛けて楽にして」
「…お腹すいた」
「──と言うと思ってアツアツのホヤ鶏グラタン持ってきてあるから一緒に食べようか」
ハーべナーさんが言うとおじいさんがちょうどホヤ鶏のグラタンを3つと水を持ってきていた。
なんで私がホヤ鶏のグラタン食べたいと思ったのがわかったんだろう。
「なんで『ホヤ鶏のグラタンが食べたい』ってわかったの?」
「ソイツは女将を長年やってて入手したスキル《女将の超直感》って奴さ」
「すごいすごい! どんなスキル?」
「『宿泊客の食嗜好、何を求めているかを察知する』能力さ。さ、冷めないうちに食べな」
「おじいさs─「ワシは調合で忙しくなるから遠慮しとくわい」…そっか…」
「調合は翁に任せて私たちは食べようか」
ハーべナーさんもおじいさんも何を心配してるんだろう。と気づけばセラがいない。
「あれ? セラは?」
「ユネの手伝いに行ったよ」
「こんなに過保護にされるほど危険な毒なのに私も手伝わないと!」
席を立とうとする所をハーべナーさんに押さえつけられてしまった。
「なにを…」
「トキ、これが見える?」
ハーべナーさんは右手の人差し指を私に向けている。
その人差し指は黒い光を放っている。
「なに…その光…」
「この指の光が何色に光ってるかはだいたい予想できる。このスキルはね、《医者の宣告》って言って自由自在とまでは行かないけど、色の次第によっては行動の制限をかけられるの。
そしてこのスキルの恐ろしいところは、どんなに屈強なな冒険者であっても私のこのスキルには抗えない。病気にかかってる間は…ね。
以前トキが、動く夢茸によって昏睡状態になってた時、ユネとセラにこの指を見せたら緑だったけどそれでもあいつらは使われたくなくて素直にいい子にしてた。それだけ強制力があるスキルってこと」
ユネとセラに強制させるってなかなかだと思う。しかし疑問に思った。
「じゃあなんで使わないの?」
「《医者の宣告》を使うのは本当の本当に最後の最後の手段。今のトキは私のほかのスキルでようやく事なきを得てる状態なの。
例えて言うなら奈落に繋がってるかと思えるくらい深い谷をめちゃくちゃ細い糸1本を張ってその上を渡ってる状態…。これを薬が完成するまでもたせなくてはいけないけど、ここで《医者の宣告》を使うのは『その場で方向転換して走って戻れ』って言ってるようなものなのよ。……そしてそうなれば確実に助からない」
ハーべナーさんの言葉に思わず息を呑む。
「だから頼むから《医者の宣告》を使わせないでおくれ」
「じゃあどうすればいい?」
思った以上に深刻だった。なら自分から率先して動くのは辞めた方がいいと感じ、ハーべナーさんに聞いてみる。医者の言うことは絶対だ。
「薬ができるまで私とお話してればいいのさ。さっきまでのような感じでね」
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