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32話 魔導の極致(2)

ユネが杖を握ると透き通った宝玉は一瞬でくすんだ色に変わる


「…(『竜玉の杖』、起動を確認。《魔力炉》フル稼働。特殊起動《双発化》、更に乗算。続いて空間魔法《収納棚(クローゼット)》、1番倉庫より《紫紺の帳》解放。)」


ユネの衣類が唐突に光を放ち、光がおさまると冒険者にも侍従にも見える服だった姿は無く、生粋の魔術師と言える紫のローブに身を包んだユネがいた。


金の刺繍が魔力を帯びて薄く輝きをみせる紫のローブは保有魔力量を100倍底上げしてくれる完全受注生産の紫紺の帳と呼ばれる代物。

紫紺の帳は魔力が十全に通れば羽のように軽い素材だが、平時であれば大の大人数人がかりで運ばねばならない重量を持つ特殊な装備である。

そのため製作者は使用者が使用出来ることを確認して初めて作るのである。

ちなみに紫紺の帳の所持者は現在1人しか確認できていない。

なお防御力は皆無どころか下がる防具である。


「…(次は…っと)」


ユネが次の準備をし始めたところでロンリーカイザーヴェノムホネットが口から紫色の雫を吐き出した。


「…《重力壁(グラヴィティウォール)》」


ユネが紡いた言葉によって猛毒の雫は地面に叩きつけられた。


「めんどいからしばらく寝てなさい」


見上げるヴェノムホネットに対しため息1つで左手を翳す。

直後異常な大きさのヴェノムホネットはその巨体に似合わない速度で飛び退る。

しかし足りない。

見えざる巨大な手によって森が潰れた。その中にヴェノムホネットの巨躯も納まっており、地面に押さえつけられた。


「《見えざる巨人の手(タイタンハンド)》に気付いたのは良いけどその巨躯が仇となったわね」


ーーガチャリ


妙な音が響いた。まるで巨大な南京錠の鍵を開けたようなそんな音が大気に響く。

その音ともに巨大なヴェノムホネットは何事も無かったかのように起き上がる。


「…(解呪(ディスペル)された? 術式構築甘かったかな?)」


ユネは再度杖を振るう。


ーーガチャリ


「複数種類の時代の魔法言語を用いてるはずなんだけど?」


苛立ちを押し隠しながら杖を振るう。

次は大地から土の蔓が伸びヴェノムホネットの足、胴体の関節に巻き付く。

加えて光の輪がヴェノムホネットの各部を拘束する。


ーーガチャリ


鍵が開く音ともに蔓は土塊に変わり、光の輪は掠れて消えた。


「めんどくさっ…」


ユネは吐き捨てるように言うと大きく目を見開いてヴェノムホネットを見定める。


=====================================

ロンリーカイゼルホネット

種別<魔蟲><王>

Lv398

筋力6,890

耐久69,871/77,980

敏捷16,980【-10,000】

魔力26,743/59,860

物理攻撃力7,690【+1,500】

物理防御力16,908

魔法攻撃力1,790【+1,500】

魔法防御力20,790

状態異常;《酩酊》《憤怒》

メインスキル:《弱体完全無効》《毒貫通》《瘴気貫通》

サブスキル:《比例毒》《比例瘴気》《毒調合》

《操毒:初級》【+中級】【+上級】【+最上級】

《剛腕》《剛力》《飛毒》

《解毒:初級》【+中級】【+上級】【+最上級】

=====================================


ユネはすぐさま空間魔法を繋ぎ、手を突っ込む。

手を空間魔法から引っ張り出すと女王蜂が出てきた。


『今度はどうした? それと触角は掴まないで欲しいのだが?』

「オイ羽虫の長ぁ…やつの名前『ロンリーカイゼルホネット』になってるぞゴルァ」


こめかみに青筋浮かべながら引きずり出した女王蜂にメンチを切る。


『はむっ!? 我は蜜蜂の長ぞ。それとロンリーカイゼルホネットは我は知らん。おそらく部下の数がかなりの量だったのであろう』

「デタラメな情報寄越しやがって…」


ユネは放り投げるように女王蜂を元の空間魔法にねじ込んで悪態をつく。


「それにしても《完全無効》シリーズか…厄介なスキル持ってくれちゃって…どうやって生け捕りにしよう…」


ユネは右手中指を立てて頬に当てて首を傾げた。

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