咲夜さんと漫才してみた
『どうも〜』
咲「咲夜と、かわいそうな人で」
『月見草です。よろしくお願いしまーす』
咲「宜しくお願い致します」
『かわいそうな人でーす。ワッショイ』
咲「かわいそ」
『聞いてくださいよ、咲夜さん』
咲「何よ、地面にめり込みながら』
『めり込んでません』
咲「まあ、こないだの宴会では浮いてたけど」
『まあまあまあ』
咲「何だっけ、廃藩置県の封獣ぬえだっけ?」
『まあ、やりましたよ。酔ってたんでね』
咲「やって」
『お前はここで愛知だがな!』
咲「………………」
『いいですか、本題に入って』
咲「はいはい。で、用事は?」
『ソムリエってかっこいいですよね』
咲「あんたソムリエ知ってんの?」
『知ってますよ、もちろん』
咲「で、ソムリエのどこがかっこいいのよ」
『味を詩的に表現するじゃないですか』
咲「ああ、浜辺で拾ったマネキンの腕のよう、とか」
『怖いよ!』
咲「雰囲気よ。そんな感じでしょ」
『うーん、遠すぎるけど言いたいことは分かります』
咲「でもあんた、味わかんないでしょ」
『そんなことないですよ』
咲「この前私が野菜炒めって言って出したもの」
『ああ、美味しかったですよ』
咲「あれ、ポーンとルークのポロポロ炒めよ』
『チェスの駒炒めないで!』
咲「新鮮な早取りポーンよ」
『朝採り野菜みたいに言ってますけど、味変わるんですか?』
咲「知らないわよ。食べ物じゃないし」
『あんたが食わせたんでしょ』
咲「将棋と違って取ったら使えないんだからもったいないし」
『いや、次のゲームで使うでしょ』
咲「ポーン食べるあんたに味が分かるの?」
『それが本当なら自信なくなってきたけど』
咲「そもそもソムリエって、ワインの産地とか、葡萄の品種とかの知識も必要なのよ」
『今回勉強はパスでお願いします』
咲「はい、カス」
『咲夜さんワイン詳しいかと思ってテイスティングのやり方をね』
咲「教えてほしいのね。はいはい」
『お願いします」
咲「やってみましょう。ウィーン」
『ウィーンじゃないよ!』
咲「何よ」
『自動ドアはソムリエのどの部分?』
咲「出勤」
『出勤いらないです、テイスティング部分のみでお願いします』
咲「はいはい。かいつまんでやっていくから」
『お願いします』
咲「まずはワインの外観ね」
『見た目ですね』
咲「グラスを傾けて色を見る」
『あー、見たことあるかも』
咲「本当はガーネットのような濃い赤とか言うんだけど」
『おお、そういうのかっこよく言いたい』
咲「でもあんた無理でしょ」
『できますよ』
咲「じゃあ白ワインだったらどう言う?」
『白い絵の具みたいな白』
咲「ボンド飲んでるでしょそれ。真っ白じゃないから白ワインは」
『難しいですね』
咲「じゃあコツを教えてあげる」
『お、コツがあるんですか?』
咲「幻想郷ではね、スペルカードで喩えるとお洒落だから」
『あー、幻想郷ならでは』
咲「例えば、赤ワインだったら」
『赤ワインだったら?』
咲「不夜城レッドのような深い赤とか」
『あー……これかっこいいのかな?』
咲「言っときゃお嬢様は喜ぶから」
『レミリアさん、ナメられてますよ!』
咲「赤いスペカいっぱいあるから便利よ」
『白だったら何て言うんですか?』
咲「サイレントセレナのような静かな白とか」
『あー、なるほどなるほど』
咲「でしょ?」
『ロゼワインなら?』
咲「え、春色小径のようなピンク」
『曲じゃん、春色小径!』
咲「まあまあ、見た目はこんなもんよ」
『最後のは曲でしたけど』
咲「次ね。香り」
『あー、香りも大事ですよね』
咲「香りは、フルーツや花、スパイスで喩えたりするんだけど」
『なるほどなるほど』
咲「でもあんた無理でしょ」
『できますよ』
咲「じゃあ白ワインだったらどう言う?」
『酸っぱい匂い』
咲「ボンド飲んでるでしょそれ」
『いや、ボンドに限らないでしょ!』
咲「すぐボンド飲むんだから」
『飲んでませんよ、ワインでも酸っぱいやつあるでしょ』
咲「香りは難しいから、ワンフレーズだけ覚えなさい」
『たったワンフレーズですか?』
咲「風見幽香のような香り」
『ゆうかりん!?』
咲「風見幽香んちの玄関の、瓶に棒が挿さってるやつの香り」
『市販品は誰んちでも同じ匂いだよ!』
咲「幽香ってつけた方が美味しそうでしょ。たこ焼きとかお好み焼きとか」
『フラワーマスターは小麦の達人じゃないよ!』
咲「最後は飲んで味を確認」
『香りはもう終わり!?』
咲「ここがやりたかったんでしょ」
『やりたい!』
咲「プラムとかチェリーとかで喩えるのが定番だけど」
『情景で喩えたいです』
咲「リビングに転がる白骨のよう、とか?」
『怖いよ!』
咲「でもあんた無理でしょ」
『できますよ』
咲「幻想郷の人物や地名で喩えると、考えやすくて伝わりやすいわよ」
『なるほど。一理ありますね』
咲「じゃあ、白ワインだったらどう言う?」
『んー、無名の丘を駆ける管牧典のよう、とか』
咲「ボンドってそうなの?」
『ボンドじゃないよ!』
咲「飲んだことないから知らなかったけど」
『じゃあ咲夜さんだったら白ワインどう喩えるんですか?』
咲「相手にイメージしてもらうのが大切だから」
『そうですね、たしかに』
咲「少しずつ区切って言ってもいいのよ」
『あー、想像しながら聞いてもらうと』
咲「例えば、じゃあ、紅魔館の図書館の」
『ほうほう』
咲「薄暗い奥の本棚の隅」
『ほう、ヴィンテージワインですかね』
咲「縦板と横板の接する部分」
『おー、どんどんズームする感覚』
咲「その隙間から溢れる半透明の塊」
『ボンドでしょそれ! ボンドそのものじゃん!』
咲「そういう系のワインだし」
『何言ってんですか』
咲「そういうのもあるってこと」
『いやー全然できるようにならなかった。ワイン難しいですね』
咲「一朝一夕では無理よ」
『やりたかったのにな』
咲「あ!」
『え?』
咲「焼酎だったらあんたにもできるかも」
『え、そうですか?』
咲「焼酎出すとき、これだけ言えば大丈夫だから」
『なんですか?』
咲「お前はここでお湯割りだがな!」
『またスベるだろ! いいかげんにしろ!』
咲「どうもありがとうございました」
『ありがとうございましたー』
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