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main 03

またエグいのなしです。

 このネットカフェ、ちょいパック料金高いけど、飯美味いな。そんな感想を抱きながら眠った気がする。毛布を蹴り飛ばし、体を起こす。もう朝なので、朝食を食べよう。メニューを開いて、三十分程アルコールの誘惑と戦った。酒への未練を捨てるのには三十分掛かったが、朝食を選ぶのには一分も掛からなかった。注文を済ませ、洗顔したりして飲み物片手に部屋に戻った。

 朝食は予想、経験より早く来た。味も上々。早速、貰った会員カードが役に立った。食後にほぼ日課の、ネットサーフィンをする。気紛れにウルザブルン教のサイトに行く。勿論裏の方。殺害対象のリストを見る。この直接的なリストを見る度にコイツ等すぐに捕まるんじゃねェかとか思うのだが、身分詐称とかやってる身なので、まあ何とかいけるんじゃねェかとも思える。実際、今の所は何とかなってるみたいだが。

 殺人症だと判明している人のリスト、県内編。懐かしい顔がちらほらあるとかこの県大丈夫だろうか。それも勿論問題だが、一つ。問題というか、驚くべき事が。

 吉沢さんは殺人症らしい。

 

 何で俺はアポ無しで人の家に行ってんのだろうか、と考えて思い出す。そういや俺、あの人のケー番もメアドも知らねェ。後で覚えてたら教えて貰おう。無駄足は御免だし。

 呼び鈴を押すと例の如く入って下さいと叫ばれた。宅配便とかだったらどうするんだろう。


「吉沢さんって殺人症だったりします?」

「うん。言ってなかったっけ」

「ええ。範囲は?」

「青判定。九十歳以上の男。ま、人生で一人しか会った事無いけど。ソース、何処?」

「ウルザブルン教のサイトです。範囲までは書いてなかったので」

「……え、君あそこの信者なの」

「いえ、誰かさんのIDとパスワードを知っているだけです」

「前々から思ってたんだけど、その情報網は何なのさ?」

 大した事ないですよ、と言いながらコーヒーを啜る。少しだけ不服そうな顔ををして、吉沢さんは溜息を吐いた。

 大した事ないから教えるのは恥ずかしいだけである。

 あ、と吉沢さんは声を上げた。

「思い出した、トミナの事。殺せなかったけど、肩は切れたよ」

「じゃ、間接的に俺が勝ってますね」

「直接的にも勝てると思うよ。それとトミナって名前知られてると分かると襲ってくるから、気をつけて」

「了解しました。えっと、お金は?」

「殺せなかったしいいよ。あ、でも出来れば一つ」

 何でしょう、と促す。

「何か作ってくれない? ここんとこ数日、ラーメンと米しか食ってないんだ」


 独り暮らしでも自炊が出来ない人は出来ないという事を学び、吉沢家を後にした。メニューはオムライス。野菜多め。後、吉沢さんも肩を負傷している事も判明した。


 とある喫茶店の隅の席に座り、ぺペロンチーノのセットを注文する。サラダがテーブルに置かれてすぐ、待ち人が来た。

「ごめんなさい、遅れて」

「いいよ別に。こっちも急だったし。で、頼んでたのは出来た?」

「ええ。でも、私……この人から口止め料貰っているの。大した情報も無いし」

「バレなきゃいいだろ。いいから封筒寄越せ」

「……役に立ったらいいけど」

「あいよ。飯食うなら奢るけど」

「結構よ。珈琲だけ頂戴」

 適当に返事して、封筒の中身を改める。確かに彼女にしては情報が少ない。坂井家皆殺しを依頼した人が誰かも分からない。

 まあこんなモンだろう、と流し読みした書類を封筒に戻す。

 珈琲を飲み終わった彼女が口を開く。

「何もないなら帰るけど」

「あーちょい待ち。山口拓也って知ってる?」

「貴女の元同級生ね。彼が?」

「ソイツの情報、一切漏らすな」

 彼女は表情を曇らせた。立場を未だに分かってないのか、この女。仕方がない。バッグから封筒を取り出す。中身を見て、漸く彼女は首を縦に振った。嫌な世の中。

 口止め料八十万。まあ、友人の為だしね。

次はやっとside B です。

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