表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/30

side B 01

血とか死体とか、一応注意です。

 公園のトイレの個室で震えている。理由は単純で、さっきまで殺されかけていたからだ。スクールバッグは逃げる途中で捨ててしまった。何処で捨てたかは覚えていない。

 俺を殺そうとしたのは一緒に帰っていた友人で、いつも通り駄弁ってたら急に俺の首に手を伸ばしてきた。何の冗談かと思ってたら殴りかかってきたので殺人症だと判断して逃げ出した。ここ十年くらいウチの県は殺人症候群の発症率が上がりに上がって国内ダントツ一位らしいし。

 田舎だから障害物もないし、殺人症なら身体能力上がってるだろうから、逃げ切れたのは運が良かったんだろう。人気がないから俺が逃げた所為で誰かが死んだ、とかはないだろう。安心。

 これからどうすればいいんだろう。警察に連絡したいが、携帯は捨てたスクールバッグに入ってる。腕時計を見ると七時三分。電波時計だから正しい筈。問題は俺を殺そうとした友人は赤か黒判定かどうかだ。殺人症のおよそ三割でなかったら、今も活動している。でもこのままトイレに引き籠る訳にはいかない。何百メートルか先にコンビニがあるから、そこに行こう。すぐに対応してくれるだろう。これを機に両親がネグレクトを止めざるを得なくなるかもしれない。

 震えたまま、外に出た。大丈夫だ、人は居ない。誰か来たって逃げ出せる。高校男児にしては走るのは速い方なんだ。でも震えが止まらない。殺人症は身体能力上がるんだ。でも大丈夫。だってコンビニはそんなに遠くないんだから。

 何メートルか先に小規模なトンネル。薄暗いトンネルの真ん中に、死体があった。

 さっき俺を殺そうとした友人が、血溜まりの上で寝転がっている。


 何秒か何十秒かの記憶がない。気が付いたら吐いていた。

 でも良かった。コレで俺を殺そうとした奴が居なくなった。んな訳ねェだろ。自殺には見えないから、誰かに殺されたに決まってる。コイツと俺、歳も性別も一緒なんだぞ。殺人症の患者が殺したんなら、俺だって対象になる。殺人症だけじゃない。殺人鬼だったとしても、殺人犯だったとしても殺されるかもしれない。嫌だ、殺されたくない。あんな怖いの御免だ。友人に殺されるのも、知らない奴に殺されるのも御免だ。

 殺されたくない。だから俺を殺そうとする人が居るかもしれない所に行きたくない。でもそれが何処かは分からない。一定の場所とも言えない。コンビニまで百メートルちょい? 全力で走っても十何秒か掛るんだぞ、その間に殺される。でもここだって安全じゃない。少しは人が通る場所だ。嫌だ。殺されたくない。あんな怖い思いするくらいなら、死んだ方がマシだ。ちょっとした矛盾。いや、死にたくはない。けれど、こんな。人殺しが存在するような場所で、生きていけるか? 無理に決まってんだろ。クソ、携帯がない。生きる方法が分からないってのに。


「大丈夫?」


 誰かの声。反射的に振り返る。殺人症だとしても、俺が範囲に入っていないタイプだろう。その男は苦笑しながら言った。

「大丈夫じゃなさそうだね。歩ける? ──その人は後でなんとかして貰うから、君は帰った方がいい。家は近い?」

 近所、と何とか答えた。

「それは良かった。じゃあ同行させて貰える? 一人じゃ危ないだろうし」

 顎を引いた。


 帰る途中でスクールバッグを拾った。同行して貰っている男がそれを持った。少々申し訳ないが、有難い。少し歩いたら誰かとすれ違ったが、殺されなかった。その時に、変なのに捕まってるって冗談めかした声が聴こえたけど、顔が見えなかったから誰かは分からなかった。

 家の前に着いた事を伝える。バッグを返して貰って、軽く挨拶した。男の人は朗らかに笑った後走り去った。結局、殺されなかった。

 家族と一々会う気はしなかった。部屋に戻って鍵を掛ける。大丈夫。これで家族は俺を殺しに来ない。

 

 明日は学校だけど、誰かが俺を殺すかもしれない。これからどうしよう。

 

なんでBなのかはいつか分かると思われ。

次はCで、そのあとmain に戻ります。

説明が減ったからだな……短い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ