main 07
吉沢さん家に行って、俺と山口君が死なない為と、仲直りの為に最終確認をする。特に前者は失敗したらやり直し利かないし。
出された珈琲に砂糖を入れ、暫くそれを眺める。
「……何してんの?」
「珈琲観察です。個人的に、ミルク入れた後の方が楽しいんですが」
「あーごめん。丁度切れてる。……意外と砂糖多いね」
「甘さが欲しい気分なんですよ」
無糖でも大丈夫なのよ、というアピールをしてみる。
さてと、と吉沢さんが呟いた。
「何時になったの?」
「明後日の午後六時十分に山口君を……」パソコン上の地図を指差す。「此処で拉致。ウルザブルンの本部から出てくるだろうから、こういうルートで来るだろう……ってカキワラが言ってたんですけど」画面の上をなぞる。申し訳ない事に若干触ってしまった。指紋が付いた。
「で、こっちを俺がどうにかするの?」
「いえ、山口君の担当はトミナさんでしょうから、放置します。吉沢さんにお願いしたいのはブリーダーさんの処理です」
「……それ、危ないだろ。山口君が」
「大丈夫ですよ。メインは俺で、山口君はオマケなんですから。ブリーダーさんがミスったらトミナさんは山口君を無視しないと」
「トミナが山口君を拉致ってから君を拉致るって可能性は?」
「心配ないです。そうならないように、手は打ちます」
「……じゃあいいけど」
「ではお待ちかね、吉沢さんの仕事……ボランティアですかね、この場合。まあ役割は」パソコン上の地図を指差す。山口君拉致ポイントから約五百メートル離れた、田舎なおかげで人気がない公園。
「此処。来た事あります?」
「どうだろ。迷子にはならないだろうけど」
迷子って歳じゃないだろアンタ。
「じゃあ問題ないです。此処、木登りに最適な場所なんですよ。だからまあ何処に隠れるかは任せます。で、俺がブリーダーさんに気付いて走って逃げたら、バトルですバトル。頑張って下さい。あんまり怪我しないように」
「気をつける。で、殺した方がいいの? 出来れば遠慮したいんだけど」
「殺さない方がいいんですけど、遠慮したいんです?」
「そりゃ警察に厄介になる可能性は減らしたいだろ」
それもそうか。
「あ、それと。携帯はちゃんと持ってって下さい。普通に電話しますから」
「また命令されんのかよ」
「いえ、お願いします」
ちょっと可愛いらしい声を出してみたのだが、溜息が返ってきた。畜生。
「じゃあ最後に良い話を。今回のお礼は好条件な仕事を頼む、でいいですか?」
「オッケー」
「あ。そういえば。『殺せ』って依頼されてて、事故とかで勝手に死なれた場合はどうなるんです? 俺の父親みたいに」
「要相談、かな。まあいいやって金くれる人も居るし、前払い金だけの場合もある。……何、勝手に死にそうな人なの?」
「いえまあ人間何時死ぬかなんて分からないですから。持病とかはないみたいですけど」
「……じゃあ、明後日ね」
「はい。宜しくお願いします」
ではではー、と頭を下げる。
最後の仕上げに、電話ボックスへ向かう。




