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side A 03

またも短めの話です。


 珈琲をアイスにするかホットにするかで迷っている間に、カキワラが来た。

「遅れてごめんなさい。ちょっと情報整理に手間取っちゃって」

 奢って貰う身分なので、特に文句は言わない。例の如く封筒を受け取る。

「何か食べるんでしょ? 何にする?」

「サンドイッチセット」

 珈琲を単品で注文する気は失せた。

 カキワラは店員を呼んで注文する。彼女はナポリタンを食べるらしい。

「今日の夜会うんでしょ?」

「まぁ。正しくは向こうが泊りに来る、だけど」

「何で昼間は駄目なんだっけ」

「さぁ……忙しい人だし」

「んー……お金の工面かなぁ。私に言ってくれたらいいのに」

 昔、カキワラから貰った金、とか言って私に渡してきた事があった。

 その時のあの子の顔は覚えている。珍しかったから。

「嫌そうだったけど」

「良く言われるわ」

 対照的に、嬉しそうにカキワラは笑った。


 チャイムが鳴って、扉を開けて、彼女に安いカフェオレを飲ませる。

 坂井真という私は皿を洗いながらテレビを見る。

 私ではない坂井真は、ちまちまとカフェオレを飲みながらカキワラから貰った情報を見る。

 見た事もないドラマがあまり楽しそうでもないラブシーンに突入した辺りで、高い音が部屋に響いた。

「……予定変更しないと」

 彼女にしては珍しい、真剣な表情と声。そのまま玄関へと向かう途中で、思い出したように振り向いて言う。

「今日はやっぱり別の所に泊る。カフェオレ御馳走様」

 ドアが閉まった。

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