第二部 第60話 呼ばれたもの
無言聖域
第二部 門戸温泉郷編
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回の第60話では、誘拐事件の裏側について、玲桜達が少しずつ真相へ近づいていきます。
そして判明するのは、
“無差別”ではなかった
ということ。
狙われていたのは、最初から“のぼる達”でした。
また今回、アストラの「なんか変だよね?」という感覚も重要になっています。
アストラは、空気や流れの違和感にとても敏感です。
だからこそ、誰より先に“何か”へ気づいていたのかもしれません。
なお、のぼる達側の話は外伝側でも描かれています。
外伝
「近道の先」
DEGUだよ。 外伝その1:近道の先
https://applebrother.wordpress.com/2026/05/20/%e5%a4%96%e4%bc%9d-%e3%81%9d%e3%81%ae1%ef%bc%9a%e8%bf%91%e9%81%93%e3%81%ae%e5%85%88/
また、今回の空気感に近い動画はこちら
https://youtube.com/shorts/Hh-gRyZ7iyM?si=LXh3mm1pyj8Afaq7
よろしくお願いいたします。
スピネルは。
玲桜へ言った。
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「のぼるに任せる」
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それだけだった。
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怒っている。
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ココアはそう言っていた。
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実際。
怒っているのだろう。
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だが。
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それだけではない。
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玲桜は感じていた。
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何か。
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別のもの。
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もっと深い。
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説明できない感覚。
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だが。
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スピネルが。
“のぼるに任せる”
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そう言った以上。
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任せるしかない。
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玲桜はそう結論した。
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だから。
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玲桜は動いた。
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誘拐犯達。
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その大元。
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裏で動いていた者達。
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それを洗い出し。
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のぼるへ伝えた。
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その段階で。
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わかったことがある。
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玲桜が静かに目を閉じる。
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「……違う」
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複数の誘拐事件。
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そう思っていた。
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だが。
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違った。
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行方不明になった者達。
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その全員が。
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“呼ばれたもの”。
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つまり。
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境界へ近い者。
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聖域へ近づく者。
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そういう存在だった。
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そして。
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本当に狙われたのは。
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のぼる達だけ。
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空気が静かになる。
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山城が険しい顔をする。
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「……待て」
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「じゃあ」
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「最初から狙い撃ちだったのか?」
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玲桜。
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静かにうなずく。
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「そうなる」
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吉見が顔をしかめる。
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「なんで」
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「のぼるを?」
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玲桜も。
そこが引っかかっていた。
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のぼるは。
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強い。
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無自覚に。
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異常なほど。
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だが。
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外から見れば。
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ただの子供だ。
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それなのに。
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なぜ。
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こうも正確に。
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見つけた。
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その時だった。
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玲桜が思い出す。
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雨の中。
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アストラが言っていた言葉。
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『……なんか』
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『変だよね?』
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静かな声だった。
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アストラは。
感覚型だ。
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空気。
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流れ。
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“違和感”。
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そういうものに敏感。
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玲桜が静かにつぶやく。
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「……アストラは」
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「最初から気づいていたのか」
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その瞬間。
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部屋の空気が。
わずかに揺れた。
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玲桜が止まる。
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誰か。
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“見ている”。
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そんな感覚。
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玲桜の目が細くなる。
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「……なるほど」
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小さく。
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笑った。
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「そっちですか」
第二部第60話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、
「呼ばれたもの」
という存在が、かなり重要な形で描かれる回になりました。
最初は、複数の誘拐事件だと思われていました。
ですが実際には違いました。
行方不明になっていたのは、“境界に近い者達”。
つまり、“呼ばれたもの”です。
そして本当に狙われていたのは、のぼる達だけでした。
ここが今回かなり不穏な部分でもあります。
なぜ、そこまで正確に見つけられたのか。
なぜ、のぼる達を狙ったのか。
玲桜も、その違和感を強く感じています。
また今回、アストラの感覚も重要でした。
アストラは“強さ”だけではなく、空気や流れそのものを見るタイプです。
だからこそ、
「なんか変だよね?」
という感覚へ辿り着きました。
そして最後。
玲桜が感じた、
“見られている”
という感覚。
物語が、また少し別方向へ動き始めています。
なお、のぼる達側の話は外伝でも描かれています。
DEGUだよ。 外伝その1:近道の先
また、今回の雰囲気に近い動画はこちらになります。
YouTube Shorts 母さんご立腹の雰囲気動画
本編・外伝・動画、それぞれ少しずつ繋がっていますので、合わせて楽しんでいただけると嬉しいです。




