第二部 第51話 雑誌“ウー”
無言聖域
第二部 門戸温泉郷編
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回登場する「土産物屋おうり」と、看板ペット(?)ガンザについては、外伝でも少し描かれています。
外伝
「看板ペット誕生」
では、
腐敗神ガンザが、なぜ土産物屋の看板ペットになってしまったのか――
その少し前のお話が描かれています。
本編と合わせて読んでいただくと、より楽しめるかもしれません。
そして今回は、西署側が“雑誌ウー”を通して、無言聖域を外から見る回にもなっています。
よろしくお願いいたします。
西署。
⸻
今日も。
門戸温泉郷担当部(仮)は。
微妙に騒がしい。
⸻
安城が一冊の雑誌を持ってきた。
⸻
表紙。
⸻
『ウー』
⸻
胡散臭い。
⸻
吉見が即答する。
⸻
「うわ」
⸻
「また出た」
⸻
山城が顔をしかめる。
⸻
「まだ潰れてなかったのか」
⸻
オカルト。
都市伝説。
UMA。
未確認存在。
⸻
そういうものばかり扱う雑誌だ。
⸻
だが。
ひとつだけ。
問題があった。
⸻
毎号。
三ページ。
⸻
“無言聖域”の記事が掲載されている。
⸻
しかも。
妙に正確。
⸻
安城がページを開く。
⸻
「これが……」
⸻
山城が覗き込む。
⸻
「なになに?」
⸻
吉見も読む。
⸻
『新しいのに古い店』
⸻
『土産物屋おうりの看板ペットは、店主の“おうり”よりもよく喋る、中二病のモルモットだ』
⸻
『我は腐敗神ぞ!敬え!奉れ!でないと侵食するぞ!』
⸻
『そうだな!おうり!』
⸻
『いや』
⸻
『ウキーッ』
⸻
『面白いので一見の価値あり』
⸻
『なお、シールの説明もペットがしてくれる』
⸻
『ばかもの!赤シールのものを持っていると聖域から出られなくなるぞ!そんなこともわからんか!』
⸻
沈黙。
⸻
吉見が笑う。
⸻
「AIロボだろ」
⸻
「よくできてる」
⸻
山城もうなずく。
⸻
「最近すげぇからな」
⸻
だが。
安城は真顔だった。
⸻
「違います」
⸻
静かな声。
⸻
「次のページです」
⸻
ページをめくる。
⸻
そこに。
イラスト。
⸻
巨大な竜。
⸻
空。
温泉郷。
⸻
六体。
⸻
空を飛んでいる。
⸻
山城が止まる。
⸻
「……うわ」
⸻
吉見も眉をひそめた。
⸻
「よくできたイラストだな」
⸻
安城は静かに言う。
⸻
「そうです」
⸻
「イラストです」
⸻
少し間。
⸻
「ですが」
⸻
ページを見つめたまま。
⸻
「出来すぎてませんか?」
⸻
空気が止まる。
⸻
確かに。
⸻
門戸温泉郷にいる竜は六体。
⸻
見ることはある。
⸻
飛んでいるところを見かけることも。
たまにはある。
⸻
だから。
イラスト化もできるかもしれない。
⸻
だが。
⸻
違う。
⸻
細部。
⸻
角度。
⸻
視線。
⸻
飛び方。
⸻
“知っている”。
⸻
まるで。
⸻
その場にいたみたいに。
⸻
安城が小さく言った。
⸻
「……見ていたみたいです」
⸻
沈黙。
⸻
山城がページを見つめる。
⸻
その瞬間。
⸻
背後。
⸻
「うわー!」
⸻
ココアだった。
⸻
いつの間にいた。
⸻
「載ってる!」
⸻
「ハクかっこいい!!」
⸻
山城が飛び上がる。
⸻
「なんでいる!!」
⸻
ココアは普通だった。
⸻
「遊びにきた!」
⸻
完全に西署へ馴染んでいた。
⸻
ココアが雑誌を覗き込む。
⸻
そして。
小さく首を傾げる。
⸻
「……あれ?」
⸻
空気が少し変わる。
⸻
玲桜も。
いつの間にか立っていた。
⸻
雑誌を見る。
⸻
静かだった。
⸻
そして。
小さく言った。
⸻
「……誰が描いたんだろうね」
第二部第51話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、西署側から見た「無言聖域」が描かれる回になりました。
そして登場した雑誌――
「ウー」。
かなり怪しい雑誌ですが、なぜか妙に正確です。
特に今回のドラゴンのイラスト。
安城が違和感を覚えたように、“見ていなければ描けない”ような部分が混ざっています。
本当に想像だけで描かれたものなのか。
それとも――
このあたりは、今後少しずつ描かれていくかもしれません。
また、今回登場した「土産物屋おうり」と、看板ペット(?)ガンザについては、外伝「看板ペット誕生」でも少し描かれています。
腐敗神ガンザが、なぜ看板ペットになってしまったのか。
気になる方は、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
そして最後。
ココアは今日も普通に西署へ侵入していました。
もう誰も止めません。
多分、止まりません。
世界観や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理していますので、よろしければご覧ください。
https://applebrother.wordpress.com/




