第二部 第50話 飲み込まれた核
無言聖域
第二部 門戸温泉郷編
ここまで読んでいただきありがとうございます。
前回に続き、今回もかなり騒がしい「居酒屋未唯」回です。
腐敗神ガンザ。
その“核”。
普通なら、絶対に軽々しく扱ってはいけないものなのですが――
この聖域では、なぜか投げられます。
そして今回、ついに“ありえない事故”が起こります。
竜達が青ざめる中、当人(?)達だけ妙に落ち着いているのも、無言聖域らしいところかもしれません。
かなりカオスですが、楽しんでいただければと思います。
作品の設定や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理しています。
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「くそぅっ!!」
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ガンザが叫ぶ。
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「諦めるものかぁぁっ!!」
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テーブルの上。
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モルモットが必死だった。
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腐敗神としての威厳。
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その全てが。
今。
試されている。
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「我は腐敗神ぞぉぉっ!!」
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突進。
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だが。
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モルモットだった。
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短い足。
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小さい身体。
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当然。
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ジャンプできない。
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「ぬぉぉぉぉっ!!」
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必死に前足を伸ばす。
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その瞬間。
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竜達が青ざめる。
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「ま、待てぇぇっ!!」
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「ダメっ!!」
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「止めてぇぇぇ!!」
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ハクですら声を荒げている。
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ガンザ。
頑張った。
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そして。
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ありえないことが起きる。
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ふわっ。
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「「「飛んだぁぁぁっ!?」」」
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店内騒然。
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モルモットが。
飛んだ。
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アオがぽかんとする。
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「と、飛べるの?」
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コウも止まる。
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「モルモットって飛ぶのか……?」
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ガンザ本人も驚いていた。
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「ふっ……」
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「神だからな!!」
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ドヤ顔。
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その頃。
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スピネルは静かだった。
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ココアを見ている。
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「ココア」
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優しい声。
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「投げてはいけません」
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「はい……」
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ココアしょんぼり。
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その瞬間。
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ドゴッ!!
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飛来したガンザ。
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「ぬわぁぁっ!?」
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スピネルの手へ激突。
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その拍子に。
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黒い玉が。
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ぽーん。
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宙を舞う。
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店内停止。
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「あ」
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ココア。
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「やば」
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そして。
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その時だった。
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おうり。
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クルミに。
「これも美味しいよ」
と勧められていた。
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素直に。
口を開ける。
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ぱく。
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黒い玉。
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吸い込まれる。
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沈黙。
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「「「えぇぇぇぇぇぇっ!?」」」
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店内大絶叫。
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おうりが止まる。
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もぐ。
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ごくん。
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飲み込んだ。
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完全に。
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ガンザが絶叫する。
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「我の核ぅぅぅぅぅぅっ!!!」
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竜達が青ざめる。
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ハクが立ち上がる。
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「終わった!!」
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リョクが涙目。
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「まずいまずいまずい!!」
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キンが真顔。
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「非常にまずいです」
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ココアが固まる。
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「え」
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「ど、どうなるの?」
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ガンザが震える。
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「知らぬわ!!」
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「前例がない!!」
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クルミだけが静かだった。
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「おうり」
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優しい声。
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「苦しくないかい?」
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おうり。
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きょとん。
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そして。
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「……ちょっと」
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少し間。
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「苦い」
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「「味の感想ぉぉぉっ!!?」」」
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外伝:壊せない場所
に続く。
第二部第50話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、
「腐敗神の核をおうりが飲み込む」
という、とんでもない事件が起きました。
しかも原因が、
・ココアが投げる
↓
・ガンザが飛ぶ
↓
・スピネルに激突
↓
・口の中へ
という、完全事故連鎖です。
そして今回、一番重要なのは、
「ガンザ本人ですら前例を知らない」
という部分だったりします。
つまり、本当に何が起きるかわかりません。
一方で、おうり本人は、
「ちょっと苦い」
程度の感想でした。
このズレた空気感が、無言聖域らしいところでもあります。
また、今回ガンザが“飛んだ”のも地味に重要です。
本人(本神?)の執念なのか、核への本能なのか。
もしかすると、神としての力が無意識に働いたのかもしれません。
そして、そんな大騒ぎの中でも、クルミだけは最初に
「苦しくないかい?」
と聞いています。
危険物を飲み込んだことより、まず相手の体調を心配する。
そういうところが、聖域の中心らしいのかもしれません。
世界観や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理していますので、よろしければご覧ください。
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