第二部 第48話 腐敗神ガンザ
無言聖域
第二部 門戸温泉郷編
ここまで読んでいただきありがとうございます。
前回までかなり重い話が続きましたが、今回は少し空気が変わります。
未唯と一緒に現れたのは、竜達――
ハク、キン、コウ、リョク、アオ。
そして、居酒屋未唯にて、まさかの遭遇が起こります。
腐敗神ガンザ。
名前だけ聞けば恐ろしい存在ですが、無言聖域ではどうにも扱いが違うようです。
今回も、聖域らしい“おかしな日常”を楽しんでいただければと思います。
作品の設定や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理しています。
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「ただいまー!」
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元気な声。
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未唯だった。
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その後ろ。
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ぞろぞろと。
人影。
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「ご飯だから」
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「手、あらってきてね」
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静かな声は、あい。
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「はーい!」
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未唯が返事をする。
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そして。
後ろにいる五人。
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ハク。
キン。
コウ。
リョク。
アオ。
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つまり。
竜達だ。
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人型ではある。
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だが。
空気が違う。
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市役所職員なら卒倒する。
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居酒屋未唯。
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すっかり異世界側のたまり場だった。
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「邪魔をする」
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ハクが静かに言う。
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「へぇ」
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コウが店内を見回した。
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「いいとこだな」
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アオもキョロキョロしている。
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「てんか」
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「いいとこに住んでる」
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リョクが羨ましそうに言う。
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「羨ましい……」
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キンだけは礼儀正しい。
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「未唯様に呼ばれたのです」
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「ご迷惑でなければ」
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その瞬間。
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ももが笑う。
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「今日はこっちでご飯食べるのよね?」
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ココアも笑顔。
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「みなさんもどうぞ!」
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完全に親戚の集まりだった。
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竜達が席へ案内される。
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ハクがゆっくり座ろうとして。
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止まった。
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視線。
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テーブルの上。
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そこにいた。
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モルモット。
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ふんぞり返っている。
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ハクの目が見開かれる。
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「……ッ!!」
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周囲の竜達も止まる。
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「こ、こやつ……!」
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ハクの声が震える。
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「ガンザ!!」
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空気が変わる。
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コウが固まる。
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アオが飛び退く。
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リョクの顔色が変わる。
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キンが即座に身構えた。
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竜達の間に。
緊張が走る。
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未唯がぽかんとする。
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「え?」
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モルモットが。
ふんぞり返った。
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「な、なによ!」
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小さいくせに態度がでかい。
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「私は神よ!」
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ドヤ顔。
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「我が名はガンザ!!」
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「腐敗神なるぞ!!」
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どこから出しているのかわからない声量。
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「こうべを垂れよ!!」
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「我を敬え!!」
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「でなければ全て侵食してくれるわ!!」
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「うははははははっ!!」
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沈黙。
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その瞬間だった。
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「うるさい」
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言ったのは。
コスピ。
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次の瞬間。
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バシィッ!!
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テーブルの上のモルモットが。
突っ伏した。
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「ぐぇっ」
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静まり返る店内。
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コスピは涼しい顔だった。
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「ご飯前」
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「静かに」
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ガンザがぷるぷる震える。
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「き、貴様……!」
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「神に向かって……!」
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ももが普通に言う。
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「いつものことだよ?」
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あいが静かにお茶を置く。
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「おかわりあります」
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完全に。
扱いがペットだった。
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ハク達は。
まだ固まっていた。
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ハクが震える声で言う。
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「……なぜ」
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「腐敗神が」
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「卓上におるのじゃ……」
第二部第48話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、かなり久しぶりに「無言聖域らしいカオス日常回」になりました。
竜達からすれば、腐敗神ガンザは本来“畏怖の対象”です。
だからこそ、ハク達の反応はかなり本気でした。
ですが――
この聖域では。
テーブルの上にいる。
しかも、コスピに叩き伏せられる。
完全に扱いが狂っています。
ただ、この「神すら日常に飲み込まれる」という空気感は、無言聖域らしさでもあります。
また今回、キン達の
「いいところに住んでいる」
という反応も、実はかなり重要です。
門戸温泉郷は、ただの異世界の町ではなく、“帰って来られる場所”として少しずつ形になっています。
それは、クルミ達が守っている“家”そのものなのかもしれません。
そしてガンザ。
本人(本神?)は偉そうですが、今後も多分こんな感じです。
世界観や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理していますので、よろしければご覧ください。
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