第二部 第43話 約束
白い光が静かに消えていく。
⸻
小雪が回った後。
⸻
張り詰めていた空気が。
少しだけ柔らかくなっていた。
⸻
長儒会の老人達は。
もう誰も強気ではなかった。
⸻
支配。
管理。
確保。
⸻
そんな言葉が。
どれほど愚かだったか。
⸻
理解してしまった。
⸻
中央の老人が。
ゆっくり立ち上がる。
⸻
震えていた。
⸻
だが。
逃げなかった。
⸻
そして。
深く頭を下げる。
⸻
「……もう」
⸻
静かな声。
⸻
「何もせん」
⸻
空気が止まる。
⸻
吉見が目を見開く。
⸻
山城も驚いていた。
⸻
老人は続ける。
⸻
「国にも」
⸻
「手出しはさせん」
⸻
長儒会の他の老人達も。
黙ってうなずいている。
⸻
それは。
この国の裏側そのものだった。
⸻
つまり。
国家レベルの約束。
⸻
老人はさらに頭を下げた。
⸻
「約束しよう」
⸻
少し間。
⸻
「絶対に」
⸻
「無言聖域には」
⸻
「手出しはしないと」
⸻
沈黙。
⸻
誰もすぐには言葉を返さなかった。
⸻
その中で。
クルミだけが困ったように笑う。
⸻
「そんな大げさな」
⸻
ココアが即座に言う。
⸻
「大げさじゃない!」
⸻
もももうなずく。
⸻
「クルミ守る!」
⸻
コスピが静かに老人達を見る。
⸻
「約束」
⸻
あいは無言。
⸻
だが。
クルミへ抱きつく力が少し強い。
⸻
ハクが静かに老人達を見る。
⸻
「……賢明じゃ」
⸻
その声には。
少しだけ。
安堵があった。
⸻
ライも小さく息を吐く。
⸻
「これで」
⸻
「未来が変わる」
⸻
玲桜が静かに目を閉じる。
⸻
張っていた緊張が。
少しだけ解けた。
⸻
その瞬間だった。
⸻
クルミが小さく言った。
⸻
「ありがとう」
⸻
たった一言。
⸻
だが。
その瞬間。
⸻
ゴォ……
⸻
世界樹の気配が。
静かに揺れる。
⸻
まるで。
世界そのものが。
安堵したみたいに。
⸻
長儒会の老人達は。
それを感じていた。
⸻
“許された”
⸻
のだと。
⸻
小雪がふわりと笑う。
⸻
「これで」
⸻
「みんな静かに暮らせるね」
⸻
ココアが笑顔になる。
⸻
「うん!」
⸻
吉見が遠い目をした。
⸻
「……静かとは」
⸻
山城が小さく言う。
⸻
「まぁ」
⸻
「聖域基準なら静かなんだろ」




