表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無言聖域ーーデグーたちの記録  作者: おじさんヒーロー
PR
67/94

第二部 第37話 ライが見ているもの

――ズレた。



その瞬間だった。



景色が消える。



屋敷。


長儒会。


黒スーツ。



全部。



消えた。



代わりに。



廃墟。



炎。



崩れた建物。



燃える車。



空が黒い。



山城が息を呑む。



「……なんだ」



吉見が周囲を見る。



「ここ……」



人が逃げている。



叫び声。



泣き声。



人。



人。



人。



だが。


“何か”から逃げている。



得体が知れない。



恐ろしいもの。



それが通った後みたいだった。



その瞬間。



ドォォン!!



遠くで建物が崩れる。



悲鳴。



市役所職員が震える。



「何が起きてる!?」



誰も答えられない。



玲桜だけが静かだった。



『……視えている』



無線越し。



玲桜の声が低い。



『ライの視界です』



空気が凍る。



前方。



“何か”がいた。



赤い瞳。



銀色の髪。



小さな影。



ライ。



だが。


いつものライじゃない。



感情がない。



静かに。


ただ立っている。



その周囲。



黒い影。



無数。



縦横無尽。



矛盾した軌道で走り抜ける。



速い。



いや。


速さの概念がおかしい。



影が通るたび。



悲鳴。



破壊音。



人が消える。



山城が叫ぶ。



「何なんだよあれ!!」



その瞬間。



ライが。


こちらを見た。



赤い瞳。



静かだった。



だが。


その奥。



深い悲しみ。



そして。


圧倒的な“拒絶”。



ハクが小さく震える。



「……まさか」



ジェットも息を呑む。



「ライ」



「お前」



玲桜の声が静かに響く。



『本来』



『ライは』



少し間。



『時間を戻すだけの存在ではありません』



空気が止まる。



黒い影が。


再び走る。



その瞬間。



空間が切れた。



建物ごと。



何もかも。



“なかったこと”みたいに。



消えた。



市役所職員が崩れ落ちる。



「意味がわからない……」



玲桜が静かに言った。



『ライは』



『終わった世界を見ている』



その瞬間。



炎の向こう。



巨大な“何か”が。


ゆっくり。


顔を上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ