第二部 第21話 認識阻害
無言聖域
第二部 門戸温泉郷編
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回の第21話では、玲桜の持つ「認識阻害」の力が描かれます。
見える者。
見えない者。
認識できる者。
できない者。
門戸温泉郷や通路が、なぜ今まで表へ出てこなかったのか。
その理由の一端も、少し見えてくる回になります。
また、玲桜という存在が、単なる“静かな人”ではないことも改めて描かれていきます。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
https://applebrother.wordpress.com/
「えぇぇぇっ!?」
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市民課職員が叫ぶ。
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「なんでですか!!」
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玲桜は静かだった。
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「危険だからです」
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即答。
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ココアが笑い転げる。
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「正しい!」
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吉見もうなずく。
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「それはそう」
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だが。
ファンタジー好き職員は止まらない。
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「でも!」
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「少しだけ!」
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「ほんのちょっとだけでも!!」
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玲桜が静かにお茶を飲む。
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完全に無視だった。
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未唯が玲桜を見る。
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「りおくん」
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玲桜が視線を向ける。
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未唯が小さく聞く。
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「だめ?」
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沈黙。
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吉見が小さくつぶやく。
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「今ので揺れたな」
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山城もうなずく。
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「揺れた」
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玲桜は少しだけ考えた。
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そして。
小さく息を吐く。
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「……少しだけなら」
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職員の顔が輝く。
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「やった!!」
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ココア達が少し距離を取る。
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黒姫が静かに言った。
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「壊さないでくださいね」
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「何を!?」
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その瞬間だった。
玲桜が。
静かに指を上げる。
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何も起きない。
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職員が止まる。
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「……あれ?」
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玲桜は静かだった。
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だが。
次の瞬間。
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違和感。
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吉見が止まる。
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山城も周囲を見る。
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「……ん?」
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市民課職員が瞬きをした。
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「え?」
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「今」
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「ここ……」
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空気が揺らぐ。
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『小料理屋 未唯』の店内。
そこにいる全員。
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なのに。
「認識」がぼやける。
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誰がどこにいたのか。
何人いたのか。
一瞬わからなくなる。
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職員の顔から血の気が引いた。
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「う、うわっ!?」
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玲桜が静かに指を下ろす。
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その瞬間。
世界が戻る。
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全員が息を吐いた。
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市民課職員が震える。
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「な、なんですか今の……」
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玲桜は静かに答えた。
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「認識阻害です」
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沈黙。
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ココアが楽しそうに笑う。
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「玲桜の得意分野!」
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吉見が真顔になる。
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「……だからか」
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玲桜を見る。
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「通路が見えない人間がいるの」
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玲桜は小さくうなずく。
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「はい」
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「見える必要がない者には」
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「見えません」
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市民課職員が小さく言った。
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「魔法じゃん……」
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黒姫が静かに補足する。
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「近いですが」
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「少し違います」
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ソラも続ける。
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「玲桜の場合」
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「世界への干渉に近い」
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職員が完全停止した。
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「……こわ」
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ココアが笑う。
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「でも便利だよ!」
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山城が即答する。
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「敵に回したくないタイプだ」
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その瞬間だった。
店の外。
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温泉街の通りで。
誰かが叫んだ。
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「通路が開いた!!」
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空気が変わる。
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玲桜の目が静かに細くなる。
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ココアが立ち上がる。
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「お仕事かな?」
第二部第21話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、玲桜の「認識阻害」が正式に描かれました。
ただ隠すだけではありません。
存在そのものへの認識をずらし、
理解を曖昧にし、
必要のない者には“見えなくする”。
それが玲桜の力です。
また、黒姫やソラの言葉からも分かるように、玲桜の能力は単なる魔法ではなく、“世界への干渉”に近いものでもあります。
だからこそ、通路や門戸温泉郷は今まで隠され続けてきました。
そして、市役所職員達も少しずつ理解し始めています。
こちら側の力は、
「便利な異能力」
ではなく、
時に世界そのものへ影響を与える危険な力なのだと。
また最後には、新たな通路反応も発生しました。
門戸温泉郷は、まだまだ広がり続けています。
ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。
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