↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無言聖域ーーデグーたちの記録  作者: おじさんヒーロー
PR
40/100

第二部 第10話 安城

無言聖域

第二部 門戸温泉郷編


ここまで読んでいただきありがとうございます。


門戸温泉郷の存在は、ついに「現実側」の行政機関にも知られるようになりました。


そして今回登場するのは、市役所から派遣された職員達と、新たに着任した安城という女性警官です。


異世界。


通路。


世界樹。


普通なら到底受け入れられないはずの現実。


ですが、現場ではすでに「どう対処するか」が始まっています。


一方で、こちら側も静かに人を選び始めています。


作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。


https://applebrother.wordpress.com/

「困ります!!」


⸻


西署に声が響いた。


⸻


門戸温泉郷担当部(仮)。


その手書きのプレートの前で。


三人の男女が立っていた。


⸻


市役所。


⸻


派遣組だった。


⸻


吉見が小さくつぶやく。


⸻


「来たな……」


⸻


山城も嫌そうな顔をする。


⸻


「ついに来た」


⸻


先頭に立つ女性は。


ピシッとした婦警制服。


眼鏡。


長い黒髪を後ろでまとめている。


⸻


美人だった。


かなり。


⸻


だが。


今は完全に怒っていた。


⸻


「勝手なことをされては困ります!!」


⸻


その言葉に。


西署側は全員疲れた顔をした。


⸻


対応しているのは。


一人の女性警官。


⸻


同じく制服姿。


だが。


空気が違った。


⸻


鋭い。


静か。


一歩も引かない。


⸻


彼女が静かに言った。


⸻


「あなた方市役所には」


⸻


「一月も前から依頼があったはずですが」


⸻


空気が止まる。


⸻


市役所側の男が顔をしかめる。


⸻


「それは」


⸻


婦警は続けた。


⸻


「勝手だと言いますが」


⸻


少しだけ眼鏡を押し上げる。


⸻


「ならば、いつまで待てと?」


⸻


沈黙。


⸻


「私どもでどうこうできるとでも?」


⸻


静かな声だった。


だが。


完全に怒っていた。


⸻


吉見が小さくつぶやく。


⸻


「うわ」


⸻


山城も引いていた。


⸻


「キレてる」


⸻


ココアが楽しそうに言う。


⸻


「強そう!」


⸻


黒姫が小さくうなずく。


⸻


「かなり」


⸻


その婦警が振り返った。


⸻


「本日付けで着任いたしました」


⸻


小さく敬礼する。


⸻


「安城です」


⸻


空気が少し変わる。


⸻


吉見が説明する。


⸻


「本部から回された」


⸻


「対通路案件担当」


⸻


山城が続ける。


⸻


「つまり巻き込まれ組」


⸻


安城が即答する。


⸻


「聞こえています」


⸻


山城が黙った。


⸻


安城は市役所側を見る。


⸻


「そもそも」


⸻


「異世界住民の登録についても」


⸻


「通路管理についても」


⸻


「観光流入についても」


⸻


「すべて未対応」


⸻


市役所側がたじろぐ。


⸻


安城が続ける。


⸻


「それを現場へ押しつけておいて」


⸻


「勝手なことをするな、ですか」


⸻


静かだった。


だが。


怖かった。


⸻


ココアが小さく言う。


⸻


「好き」


⸻


マロくんもうなずく。


⸻


「強い」


⸻


その瞬間だった。


市役所側の一人が言った。


⸻


「し、しかし!」


⸻


「相手は異世界ですよ!?」


⸻


安城が即答した。


⸻


「知っています」


⸻


「だから?」


⸻


完全に止めを刺した。


⸻


吉見が心の中で思う。


⸻


(強ぇ……)


⸻


その瞬間だった。


ドアが開く。


⸻


玲桜だった。


⸻


静かに部屋へ入ってくる。


⸻


安城が止まる。


⸻


玲桜も止まる。


⸻


一瞬。


空気が静かになる。


⸻


玲桜が小さく頭を下げた。


⸻


「初めまして」


⸻


安城も静かに礼を返す。


⸻


「西署特殊案件担当補佐」


⸻


「安城です」


⸻


玲桜が言った。


⸻


「門戸温泉郷管理担当」


⸻


少し間。


⸻


「玲桜です」


⸻


その瞬間だった。


ココアが小さくつぶやく。


⸻


「なんか始まりそう」

第二部第10話を読んでいただきありがとうございました。


今回は、市役所側と西署側の温度差がかなり強く描かれる回になりました。


特に安城は、ただ巻き込まれたわけではなく、自らこの部署を志願して来ています。


そして彼女自身もまた、「呼ばれた」と感じていました。


これは、世界樹や通路側が“適合する者”を少しずつ選び始めていることでもあります。


また、市役所側がまだ「異世界」を理解しきれていない一方で、西署側はすでに“現実として受け入れ始めている”ことも描かれています。


異世界を否定する段階は、もう終わりつつあるのかもしれません。


ここから先は、門戸温泉郷そのものがさらに広がり、「現実側」がより深く関わっていくことになります。


ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。


https://applebrother.wordpress.com/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。