第27話 歓迎会
ここまで読んでいただきありがとうございます。
第27話では、ポップが役目を終え、花園へ戻ってきます。
そして、クルミ、スピネル、月も姿を見せます。
また、小雪の力によって、傷ついた身体や境界そのものも少しずつ整えられていきます。
戦いの直後だからこそ、それぞれが「帰ってきた」ことを感じ始める回になります。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
https://applebrother.wordpress.com/
花園が静かに揺れていた。
通路も。
境界も。
ゆっくり落ち着きを取り戻していた。
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未唯は種を抱えていた。
小さな光だった。
でも。
胸の奥まであたたかかった。
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ポップがぽふっと笑う。
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「わたした」
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玲桜が静かに言った。
「役目を果たしましたね」
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ポップはよく分かっていない顔をした。
でも。
嬉しそうだった。
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その瞬間だった。
花園の奥。
空気がやさしく揺れた。
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三人が立っていた。
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クルミ。
スピネル。
そして。
月だった。
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未唯が止まる。
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ココアが小さく言った。
「来てたんだ」
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黒姫が静かに目を細める。
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クルミがポップを見る。
少し笑った。
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「よくやった」
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ポップがぽふぽふ歩く。
小さな足音。
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スピネルがしゃがむ。
手を差し出した。
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「ポップ、こっちへ」
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ポップが嬉しそうに近づく。
ぽふ。
ぽふ。
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そして。
差し出された手に乗った。
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月が小さく笑う。
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「帰ります」
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クルミがうなずく。
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「そうだな」
少し周囲を見る。
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「今日は歓迎会だ」
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ココアが目を輝かせる。
「やった!」
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マロくんが言った。
「飯!」
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いっちゃんがため息をつく。
「単純」
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その瞬間だった。
クルミが小雪を見る。
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「その前に」
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小雪が静かにうなずいた。
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「うん」
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花園の中心へ出る。
白い髪が揺れる。
赤い瞳が静かに閉じる。
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そして。
小雪が回った。
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くるり。
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空気が変わる。
花が揺れる。
距離が整う。
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もう一度。
くるり。
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光が広がった。
やさしい光だった。
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透真の傷が消えていく。
ナオリの身体も。
疲労も。
境界の傷も。
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未唯が目を見開く。
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「すごい」
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ライくんが静かに言った。
「戻してる」
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玲桜が小さくうなずく。
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「本来あるべき姿へ」
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小雪が静かに回り続ける。
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花園全体が呼吸するみたいだった。
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ココアが小さく言った。
「かわいい」
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黒姫が言った。
「わかる」
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月が静かに小雪を見る。
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「相変わらずだな」
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スピネルが優しく笑った。
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「この子は特別」
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その瞬間だった。
ポップが小さく欠伸をした。
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クルミが笑う。
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「お疲れだな」
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ポップがうとうとしながら言った。
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「おわった……」
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未唯がポップを見る。
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「ありがとう」
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ポップが少しだけ笑う。
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「うん」
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その瞬間だった。
世界樹の種が。
未唯の手の中で。
小さく脈打った。
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玲桜の目が変わる。
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「……始まっています」
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未唯が聞く。
「なにが?」
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玲桜は種を見る。
静かに。
でも。
少しだけやわらかく。
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「根づきです」
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花園の花が。
やさしく揺れた。
第27話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、ポップが世界樹の種を未唯へ託し、その役目を終える場面になりました。
ポップ自身はまだ幼く、自分がどれほど特別な役目を持っているのかもよく分かっていません。
ですが、クルミ、スピネル、月達は、その存在の意味を理解しています。
また、小雪の「本来あるべき姿へ戻す力」によって、透真やナオリの傷、そして境界そのものも少しずつ整えられていきました。
そして最後には、未唯へ「この種を、この地に根づかせる」という新しい役目も託され始めています。
ここから先は、通路や境界だけではなく、「命が根づく世界」そのものへ物語が進んでいきます。
ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。
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