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無言聖域ーーデグーたちの記録  作者: おじさんヒーロー
24/28

第24話 さらに上

ここまで読んでいただきありがとうございます。


未唯が“選ばれる者”として認識され始めたことで、通路や境界そのものも大きく変化し始めています。


第24話では、管理者側よりさらに上位の存在が現れます。


それは、追っ手とも管理者とも違う、「世界そのもの」に近い存在です。


そして未唯と玲桜の関係にも、少し変化が現れ始めます。


作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。


https://applebrother.wordpress.com/

通路が静かだった。


揺れている。


戦っている。


なのに。


中心だけが静かだった。



未唯が立っていた。


花の光の中に。



周囲では。


ココア達が戦っている。


玲桜達が境界を維持している。


管理者側も動いている。



だが。


全員が止まった。



通路の奥。


さらに深い場所。


そこが開いた。



黒姫が小さく言った。


「……来る」



空気が変わった。



重い。


ではない。



“深い”



ライくんが震えた。


「時間が沈む」



小雪が止まる。


花が揺れなくなる。



管理者側が。


初めて。


後ろへ下がった。



玲桜の目が変わる。


「上位です」



未唯が聞いた。


「上?」



誰も答えられなかった。



その瞬間だった。


目が開いた。



通路の奥。


巨大だった。


だが。


形が定まらない。



人にも見える。


花にも見える。


空にも見える。



存在そのものが曖昧だった。



未唯が止まる。


でも。


目を逸らさなかった。



“それ”が未唯を見る。



空気が静止した。



「……確認」



声だった。


だが。


世界そのものが喋っているようだった。



管理者側が頭を下げる。



「選定対象」



“それ”が未唯を見る。



「未成熟」



空気が震えた。



追っ手本隊が止まる。


管理者側も動かない。



全員が。


“それ”を見ていた。



未唯だけが。


一歩前に出た。



玲桜が言った。


「未唯」



未唯が小さく言った。


「怖い」



その瞬間だった。


玲桜が隣に立った。



何も言わない。


でも。


そこにいた。



未唯が玲桜の袖を握る。


少しだけ。


震えながら。



玲桜が静かに言った。


「大丈夫です」



その言葉で。


未唯の呼吸が戻った。



“それ”が玲桜を見る。



「境界管理個体」



玲桜は静かに答えた。


「はい」



「近い」



空気が止まった。



黒姫が目を細める。


ココアが戦いながら振り向く。



玲桜だけが静かだった。



“それ”が続けた。



「なぜ側にいる」



玲桜は少しだけ考えた。



そして。


静かに答えた。



「未唯だからです」



その瞬間だった。


花が揺れた。



通路全体に。


光が広がった。



未唯が目を見開く。



“それ”が止まる。



「個体優先を確認」



玲桜は答えない。



未唯が玲桜を見る。



玲桜はいつも通りだった。


静かだった。


怖がっていなかった。



未唯が小さく笑った。



「……うん」



その瞬間だった。


“それ”が。


初めて。


少しだけ。


未唯から目を逸らした。



そして。


静かな声で言った。



「観察継続」



通路が静かになる。



管理者側が動き始める。


追っ手本隊も後退する。



黒姫が小さく言った。


「帰った?」



玲桜が静かに答えた。


「違います」



未唯が聞く。


「なに?」



玲桜は未唯を見た。



「認められました」



未唯が止まる。



花が揺れた。


やさしく。


祝福するみたいに。

第24話を読んでいただきありがとうございました。


今回は、管理者側すら下がるほどの上位存在が登場しました。


未唯は“鍵”としてではなく、一個体として観察され始めています。


また、玲桜が「未唯だからです」と答えた場面は、未唯にとってとても大きな意味を持つものになりました。


守られているだけではなく、「自分自身」を見てもらえた。


そのことが、未唯の中で玲桜をさらに特別な存在へ変えていきます。


そして最後には、未唯が「認められた」ことも示されました。


ここから先は、境界と世界そのものの核心へ近づいていくことになります。


ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。


https://applebrother.wordpress.com/

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