第23話 選ばれる者
ここまで読んでいただきありがとうございます。
未唯が通路を開き、向こう側へ踏み込んだことで、境界そのものが大きく変化し始めています。
第23話では、花園、通路、管理者側が重なり始め、未唯自身にも変化が起こります。
「鍵」としてではなく、一人の存在として何を見られているのか。
物語がさらに深い場所へ進んでいく回になります。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
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通路が静かだった。
戦っているのに。
揺れているのに。
中心だけが静かだった。
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未唯が立っていた。
通路の真ん中に。
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兄がいた。
ナオリがいた。
玲桜達がいた。
管理者側もいた。
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そして。
花の匂いが広がっていた。
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管理者側が言った。
「確認」
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空気が揺れた。
距離が変わった。
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「鍵の変質を確認」
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玲桜が静かに言った。
「始まりました」
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未唯が聞く。
「なにが」
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管理者側が答える。
「選定」
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その瞬間だった。
花が咲いた。
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通路の中に。
光の花が。
一斉に。
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未唯が目を見開く。
「花園」
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小雪が静かに言った。
「来た」
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ライくんが言った。
「重なった」
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花が揺れる。
風はない。
だが揺れる。
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管理者側が未唯を見る。
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「鍵ではない」
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空気が止まった。
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未唯が止まる。
玲桜の目が変わる。
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「個体認識を変更」
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未唯が言った。
「……え?」
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管理者側が続けた。
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「選定対象を確認」
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その瞬間だった。
花が未唯の周りを回った。
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光だった。
やさしい光だった。
でも。
世界そのものみたいな光だった。
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兄が小さく言った。
「なんだこれ」
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ナオリが涙を浮かべる。
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「選ばれた」
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追っ手本隊が動いた。
焦ったように。
一直線に。
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「確保する!」
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だが。
間に入った。
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ココアだった。
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「だめ」
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マロくんが踏み込む。
空気が割れる。
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いっちゃんが流す。
止める。
崩す。
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玲桜が境界を固定する。
黒姫が距離を歪める。
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小雪が回る。
花が整う。
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ライくんが時間を戻す。
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全部が。
未唯を中心に動いていた。
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未唯が震える。
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「なんで」
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管理者側が静かに答えた。
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「開いたから」
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未唯が言った。
「通路を?」
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「違う」
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少しだけ。
管理者側が未唯へ近づく。
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「世界を」
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空気が止まった。
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玲桜が目を閉じる。
「そこまでです」
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管理者側が止まる。
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玲桜が静かに言った。
「未唯は未唯です」
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その瞬間だった。
花が揺れた。
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未唯の周りで。
やさしく。
守るように。
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管理者側が言った。
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「……確認」
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そして。
初めて。
少しだけ頭を下げた。
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「選ばれる者」
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未唯が止まる。
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兄も。
ナオリも。
全員止まっていた。
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未唯が小さく言った。
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「わたし?」
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その瞬間だった。
通路の奥で。
さらに巨大な何かが目を開いた。
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黒姫が言った。
「……まだ上がいる」
第23話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、未唯が単なる「通路を開く存在」ではなく、“選ばれる者”として認識され始めました。
花園、通路、管理者側、そして聖域。
それぞれが未唯を中心に動き始めています。
また、ココア達前衛、玲桜達管理側、小雪やライくん達も、それぞれの役割で未唯を支えている状態になっています。
そして最後に現れた、さらに上位の存在。
ここから先は、「境界そのもの」の核心へ近づいていくことになります。
ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。
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