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無言聖域ーーデグーたちの記録  作者: おじさんヒーロー
21/28

第21話 管理者側

ここまで読んでいただきありがとうございます。


未唯達はついに通路の向こう側へ到達しました。


しかし、そこにいたのは追っ手だけではありませんでした。


第21話では、「境界そのもの」を管理している存在との接触が始まります。


敵とも味方とも違う存在。


そして、未唯が“鍵”として正式に認識される回になります。


作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。


https://applebrother.wordpress.com/

空気が止まっていた。


通路の向こう側だった。


光が揺れている。


距離が曖昧だった。


だが。


その存在だけは。


はっきりしていた。



巨大な影だった。


人の形に近い。


だが。


完全には人ではない。



「……鍵を確認」


静かな声だった。


大きくない。


なのに。


世界全体に響いていた。



未唯が止まる。


玲桜が前に出た。



「管理者側ですね」



影が玲桜を見る。


空気がわずかに揺れた。



「境界管理個体を確認」



黒姫が言った。


「喋るんだ」



玲桜は静かだった。


「会話可能です」



未唯が兄を見る。


兄は前に立ったままだった。


傷だらけだった。


それでも未唯を隠していた。



影が言った。


「鍵の保護を確認」



ココアが小さく言った。


「鍵って未唯のこと?」



玲桜が答えた。


「はい」



その瞬間だった。


追っ手が動いた。


一直線だった。


未唯へ向かって。



だが。


空気が止まった。



追っ手が動けなくなる。


完全に。



影が静かに言った。


「許可していない」



空間が揺れた。


追っ手が押し潰される。


距離そのものが重くなる。



マロくんが言った。


「……強」



いっちゃんが小さく言った。


「格が違う」



影が未唯を見る。


空気が震える。



「鍵の状態を確認」



未唯が玲桜の袖を握る。


少しだけ。


怖かった。



玲桜が静かに言った。


「大丈夫です」



未唯が聞いた。


「敵?」



影が答えた。


「違う」



少しだけ間があった。



「管理している」



未唯が言った。


「通路?」



「境界」



その瞬間だった。


花の匂いがした。


風はない。


だが。


花園の匂いだった。



小雪が静かに言った。


「近い」



ライくんが言った。


「時間が重なってる」



影が未唯を見る。


そして静かに言った。



「なぜ開いた」



未唯が止まる。


兄が前に出る。


「答えるな」



未唯が兄を見る。


そして。


ゆっくり前に出た。



「助けたかった」



静かだった。


でも。


迷いはなかった。



未唯が続けた。


「母さんと」


少し止まる。



「お兄ちゃん」



空気が止まった。


世界が静かになった。



影が言った。


「感情による強制開放」



玲桜が静かに言った。


「確認されましたね」



影が未唯を見る。



「鍵としては不安定」



未唯が少し傷ついた顔をする。



その瞬間だった。


ココアが前に出た。



「でも!」



全員がココアを見る。



ココアが言った。


「未唯はちゃんと開いた!」



マロくんが言った。


「助けに来たし」



いっちゃんが言った。


「逃げなかった」



兄が少し笑った。



玲桜が静かに言った。


「十分です」



空気が揺れた。



影が止まる。


そして。


初めて。


少しだけ未唯に近づいた。



「……観察継続」



その瞬間だった。


通路全体が揺れた。



黒姫が言った。


「まだいる」



遠くで。


さらに別の気配が動いた。



玲桜の目が変わる。


「今度は敵です」

第21話を読んでいただきありがとうございました。


今回は、追っ手とは別の「管理者側」が初めて正面から登場しました。


未唯が感情によって通路を開いたこと。


そして、それでも誰かを助けようとしたこと。


それらが正式に「鍵」として認識される場面になっています。


また、ココア、いっちゃん、マロくん達も、戦うだけではなく「未唯を支える側」として自然に動いています。


ここから先は、通路や境界そのものの仕組みにさらに近づいていきます。


ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。


https://applebrother.wordpress.com/

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