第14話 助けに行く
ここまで読んでいただきありがとうございます。
未唯が通路を開く存在であることが明らかになり、物語は少しずつ「向こう側」へ近づき始めました。
第14話では、未唯が初めて自分の意思で「助けに行く」と決めます。
同時に、聖域側も守るために本格的に動き始めます。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
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未唯が言った。
「行く」
静かな声だった。
でも。
迷いはなかった。
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道場だった。
全員がいた。
誰も動かなかった。
誰も止めなかった。
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玲桜が聞いた。
「どこへ」
未唯は答えた。
「通路」
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空気が揺れた。
小さく。
でも確かに揺れた。
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たすくが言った。
「向こう?」
未唯はうなずいた。
「うん」
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未唯が続けた。
「お母さん」
少し止まる。
そして言った。
「助ける」
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未唯が続けた。
「お兄ちゃんも」
玲桜が言った。
「はい」
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その瞬間だった。
外の空気が変わった。
黒姫が顔を上げた。
「来てる」
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次の瞬間だった。
道場の入口が開いた。
いっちゃんだった。
マロくんだった。
そして。
ココアだった。
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いっちゃんが言った。
「見つけた」
マロくんが言った。
「追っ手」
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玲桜が言った。
「位置は」
ココアが笑った。
「もう行ってる」
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玲桜が言った。
「止まりなさい」
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いっちゃんが言った。
「無理」
マロくんが言った。
「当然」
⸻
ココアが前に出た。
笑っていた。
楽しそうだった。
でも。
盾の位置だった。
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いっちゃんが言った。
「長男だから」
マロくんが言った。
「次男だから」
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ココアが言った。
「盾役だから」
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三人が同時に言った。
「当然!」
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次の瞬間だった。
三人とも消えていた。
もう止める隙はなかった。
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黒姫が言った。
「早い」
錫が言った。
「もう接触する」
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玲桜が静かに言った。
「先行部隊です」
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未唯が通路を見て言った。
「……行こう」
第14話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、未唯が「守られる側」から「助けに行く側」へ変わる場面を書いています。
そして、いっちゃん、マロくん、ココアの三人も、追っ手を見つけた瞬間に自然に前へ出ました。
長男、次男、盾役。
それぞれが自分の役割を理解したまま動いています。
ここから先は、通路を巡る戦いが本格的に始まっていきます。
ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。
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