第17話 境界戦
ここまで読んでいただきありがとうございます。
未唯が通路を開いたことで、境界そのものが不安定になり始めています。
第17話では、追っ手と聖域側の前衛が本格的に接触します。
長男・いっちゃん。
次男・マロくん。
そして盾役のココア。
それぞれの役割が、戦いの中ではっきり見え始める回になります。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
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「来る」
黒姫が言った。
境界の外だった。
空気が重い。
距離が揺れる。
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追っ手が三人。
止まらない。
一直線だった。
⸻
マロくんが前に出た。
「任せろ」
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次の瞬間だった。
地面が割れた。
踏み込みだった。
重い一撃だった。
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一人が弾かれた。
空気が押し出された。
距離がずれた。
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追っ手が言った。
「力型」
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マロくんが笑った。
「そう」
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もう一人が動いた。
速い。
迷いがない。
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だが。
当たらなかった。
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いっちゃんが立っていた。
ほんの少し横に。
位置が違っていた。
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攻撃が外れていた。
最初から。
外れていた。
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追っ手が言った。
「読んでいる」
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いっちゃんが言った。
「違う」
少しだけ間を置いて。
「慣れてる」
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マロくんが笑った。
「相手してきたからな」
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三人目が動いた。
上からだった。
速かった。
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その瞬間だった。
ココアが前に出た。
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衝撃が止まった。
音が消えた。
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ココアが言った。
「ここまで」
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追っ手が言った。
「突破する」
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マロくんが言った。
「無理」
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いっちゃんが言った。
「通さない」
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三人が並んだ。
自然だった。
最初からそうだったように。
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三人が同時に言った。
「当然!」
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その瞬間だった。
境界が揺れた。
通路が反応した。
距離が歪んだ。
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道場側。
玲桜が目を閉じた。
「干渉されています」
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未唯が言った。
「お兄ちゃん」
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通路の光が乱れた。
距離が崩れた。
奥の影が揺れた。
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兄が言った。
「来るな」
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玲桜が言った。
「持ちません」
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花園。
花が一斉に揺れた。
風はない。
だが揺れた。
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小雪が前に出た。
静かに回った。
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空気が整った。
距離が戻った。
崩れかけた通路がつながった。
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ライくんが言った。
「時間、戻す」
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一瞬だった。
ずれた時間が戻った。
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玲桜が言った。
「維持します」
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境界の外。
追っ手が止まらない。
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マロくんが踏み込む。
重い。
速い。
迷いがない。
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いっちゃんが動く。
受ける。
流す。
外す。
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ココアが前に出る。
全部を受ける。
一歩も引かない。
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追っ手が言った。
「連携している」
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黒姫が言った。
「当然」
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その瞬間だった。
一人が抜けた。
わずかな隙だった。
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通路へ向かった。
一直線だった。
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未唯が言った。
「だめ」
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玲桜が言った。
「来ます」
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光が乱れた。
距離が崩れた。
通路が裂けた。
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未唯が一歩出た。
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玲桜が言った。
「止まってください」
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未唯が言った。
「間に合う」
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通路が開いた。
強く。
深く。
完全に。
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その瞬間だった。
境界が止まった。
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追っ手が止まった。
動けなかった。
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玲桜が目を見開いた。
「固定されています」
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未唯が言った。
「開いた」
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光が静かになった。
距離が整った。
通路が安定した。
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奥で。
兄がはっきり見えた。
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未唯が言った。
「……届いた」
第17話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、聖域側の前衛が「守る側」として本格的に動き始めました。
マロくんの圧倒的な戦闘感覚。
いっちゃんの受け流しや間合いの技術。
そして、絶対に前を下がらないココア。
三人が自然に並ぶことで、聖域側の前衛構成が完成しています。
また、未唯が通路を完全に開いたことで、境界そのものも大きく変化し始めました。
ここから先は、通路の向こう側との距離がさらに近づいていきます。
ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。
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