表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無言聖域ーーデグーたちの記録  作者: おじさんヒーロー
2/28

帰れなくなる花園

門戸温泉郷にはいくつか名前の付いた場所があります。


春の庭もその一つです。

平原にはいつも花が咲いている。


風は優しく吹いている。

空はいつも晴れている。


入口には立て看板がある。


花を摘まないで。


帰れなくなるよ。


怖い文字で書かれている。



ここは「春の庭」と呼ばれている。



家族がよくピクニックをしている場所だった。


怖い場所ではない。


けれど、


ここの花はただの花ではない。



摘んでもいい花は決まっている。


花は摘むものを選ぶ。


摘んだものは選ばれている。


選ばれたものは、


外へは出ない。



元の世界に戻りたければ、


花を摘まないことだ。



ここの花は特殊だから。


持ち出せない。



ある日、


花を摘んでしまった女の子がいた。



泣いていた。



その前に、


ライがいた。



「帰りたいのかい?」



女の子はうなずいた。



「もう、花を摘んではいけないよ」



ほんの少し、


時間が巻き戻る。



この庭に入る前に。



母親が呼ぶ声が聞こえた。



女の子は庭に入らず、


走っていった。



春の庭は、


呼ばれた者だけが通る場所だ。



摘んでもいいのは、


選ばれた者だけ。



そして、


選ばれた者は――


戻らない。

※門戸温泉郷観光案内補足


春の庭では花を持ち帰らないこと。


持ち帰った場合、

通路が閉じる可能性があります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ