第19話 通路突入戦
ここまで読んでいただきありがとうございます。
未唯が通路を開く存在であることが明らかになり、ついに向こう側へ踏み込もうとする段階まで来ました。
第19話では、通路そのものを巡る戦いが本格化します。
未唯の兄を守るため前に立つココア達前衛。
そして、未唯自身も「逃げる側」から変わろうとしています。
物語の大きな転換点になる回です。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
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通路が揺れていた。
完全に開いていた。
光が流れていた。
距離がつながっていた。
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未唯が立っていた。
通路の前に。
その奥。
兄が見えていた。
そして。
倒れている母も。
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未唯が言った。
「母さん」
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光の奥で。
母がゆっくり顔を上げた。
弱っていた。
でも。
生きていた。
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「……未唯」
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その声で。
未唯の目に涙が浮かんだ。
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その瞬間だった。
空気が変わった。
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玲桜が言った。
「来ます」
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通路の奥。
黒い影が増えていた。
一つではない。
複数だった。
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兄が叫んだ。
「閉じろ!!」
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未唯が首を振った。
「やだ!」
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次の瞬間だった。
影が動いた。
速かった。
一直線だった。
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だが。
その前に。
ココアが飛び込んだ。
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衝撃が止まった。
境界が揺れた。
距離がずれた。
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ココアが笑った。
「ここ通さない」
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追っ手が言った。
「排除対象追加」
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マロくんが踏み込んだ。
重い。
速い。
圧倒的だった。
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一撃だった。
追っ手が吹き飛んだ。
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いっちゃんが動く。
流す。
崩す。
外す。
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攻撃が通らない。
最初から位置が違う。
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追っ手が言った。
「連携個体」
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いっちゃんが言った。
「兄弟だから」
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マロくんが笑った。
「当然!」
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その瞬間だった。
通路が大きく揺れた。
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玲桜が目を閉じる。
「干渉が強い」
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ライくんが言った。
「時間ずれる」
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小雪が前に出た。
静かに回る。
空気が整う。
距離が戻る。
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黒姫が言った。
「維持してる」
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未唯が通路を見る。
兄を見る。
母を見る。
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そして。
一歩前に出た。
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玲桜が言った。
「未唯!」
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未唯が言った。
「助ける!」
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その瞬間だった。
通路がさらに開いた。
光が広がった。
距離がつながった。
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兄が目を見開いた。
「だめだ!」
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未唯が言った。
「もう逃げない!」
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その言葉で。
境界が止まった。
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追っ手が止まる。
空気が固定される。
距離が閉じる。
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玲桜が静かに言った。
「完全接続」
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その瞬間だった。
通路の奥から。
さらに大きな気配が現れた。
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黒姫が言った。
「本隊」
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空気が変わった。
花が揺れた。
距離が歪んだ。
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兄が未唯を見る。
そして。
静かに言った。
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「来るな」
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未唯が答える。
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「行く」
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その瞬間だった。
未唯が初めて。
通路へ踏み込んだ。
第19話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、通路を維持する側、守る側、そして向こう側へ進もうとする未唯、それぞれの役割が重なる回になりました。
ココア、いっちゃん、マロくん達前衛が時間を作り、玲桜達が境界を維持し、未唯が初めて自分の意思で踏み込もうとしています。
そして、ついに敵側の本隊も動き始めました。
ここから先は「通路の向こう側」が本格的に描かれていきます。
ブログでも世界観や登場人物について整理していますので、よろしければそちらもご覧ください。
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