第18話 盾役
ここまで読んでいただきありがとうございます。
通路が安定し、未唯はついに向こう側にいる兄へ手が届く距離まで近づきました。
しかし、それは同時に追っ手側にも通路がつながる危険な状態でもあります。
第18話では、未唯の兄を守るためにココア達前衛が本格的に動き始めます。
盾役として前に出るココアと、長男・次男として並ぶいっちゃんとマロくん。
守る側の覚悟が描かれる回になります。
作品の設定や登場人物については、作者ブログでも少しずつ整理しています。
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通路が開いていた。
完全だった。
光が安定していた。
距離がつながっていた。
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未唯が立っていた。
通路の前に。
その奥。
兄が見えていた。
はっきりと。
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未唯が言った。
「お兄ちゃん」
兄が顔を上げる。
疲れていた。
傷もあった。
でも。
生きていた。
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兄が言った。
「未唯」
その声で。
未唯が泣きそうになった。
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玲桜が静かに言った。
「接続維持しています」
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その瞬間だった。
通路の奥で。
別の影が動いた。
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兄の表情が変わった。
「下がれ!」
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空気が揺れた。
距離が乱れた。
追っ手だった。
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未唯が言った。
「だめ!」
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追っ手は止まらなかった。
まっすぐだった。
狙っていた。
兄を。
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玲桜が言った。
「見せしめです」
未唯が震える。
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兄が叫んだ。
「開けるな!」
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その瞬間だった。
影が兄へ向かった。
一直線だった。
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だが。
その前に。
別の影が飛び込んだ。
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ココアだった。
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衝撃が止まった。
音がずれた。
距離が揺れた。
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ココアが兄の前に立っていた。
盾の位置だった。
最初からそこだったように。
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追っ手が言った。
「新しい個体」
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ココアが笑った。
「違うよ」
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次の瞬間だった。
ココアが踏み込んだ。
速かった。
近かった。
迷いがなかった。
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追っ手が止まる。
ココアが前にいた。
間に入っていた。
完全に。
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ココアが言った。
「その人、未唯のお兄ちゃんでしょ」
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追っ手が動く。
だが。
当たらない。
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ココアが言った。
「なら」
少し笑った。
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「守る」
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その瞬間だった。
追っ手が弾かれた。
距離がずれた。
通路が揺れた。
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兄が驚いた顔をした。
「……誰だ」
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ココアが言った。
「盾役」
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追っ手が言った。
「排除する」
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ココアが笑った。
「無理」
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次の瞬間だった。
いっちゃんが来た。
マロくんも来た。
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マロくんが言った。
「間に合った」
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いっちゃんが兄を見る。
そして追っ手を見る。
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「なるほど」
短かった。
でも理解していた。
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追っ手が動いた。
その瞬間だった。
マロくんが踏み込んだ。
重い。
速い。
圧倒的だった。
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空気が揺れた。
境界が震えた。
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いっちゃんが流す。
外す。
崩す。
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ココアが前に出る。
絶対に下げない。
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兄が言った。
「なんで」
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ココアが答えた。
「当然!」
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未唯が泣きそうな顔で笑った。
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その瞬間だった。
通路の奥で。
別の気配が動いた。
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未唯が止まる。
震える。
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未唯が言った。
「……お母さん」
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光の奥で。
誰かが倒れていた。
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玲桜が静かに言った。
「生存しています」
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未唯が一歩前に出た。
「母さん!」
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兄が叫んだ。
「来るな!!」
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その瞬間だった。
通路の奥で。
さらに大きな影が動いた。
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玲桜の目が変わった。
「本隊です」
第18話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、敵側が未唯ではなく「兄を見せしめとして始末しようとしている」ことが明確になりました。
それを理解したココアが、迷わず兄と敵の間へ入る場面を書いています。
ココアはいわゆる盾役ですが、単に守るだけではなく「まず自分が前に立つ」タイプとして描いています。
そして、いっちゃんとマロくんが自然にその横へ並ぶことで、聖域側の前衛構成が完成しました。
さらに、母が生存していることも判明し、通路の向こう側の状況も大きく動き始めています。
次回は、通路そのものを巡る戦いへ入っていきます。
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