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レールの上  作者: トム
8/10

優子について




 駅前の通りは夕方になると学校を下校する生徒や仕事を終えて帰るスーツ姿の大人がちらほらと現れる。その中に女子高生は当然のように存在しているが、ここまでお互いによそよそしい二人組の女子高生はなかなかいないのではないだろうか。


『ここ知ってる?』一人の方がもう一人の意志に反して立ち止まる。

お互いの距離は3mくらい離れている。


雨宮希美は急に立ち止まった滝川由美の方を向いてそちらに顔を向ける。


チェーン店でお馴染みのカフェがそこにはあった。


『ちょっと話そ』


相変わらずアイメイクの目立つ滝川はその目一つで希美に『no』とは言わせなかった。


店内は暖房が入っており、結露がほとんどの窓にできていた。


鞄とマフラーをさっそく案内された席に置いた。


ードクン


席について真っ正面に滝川由美が居る形になるとさらに緊張した。


唯一の救いは店内に流れているジャズっぽい曲に周りの客の笑い声くらいだ。


『お冷やです』それから店員も。


まだ若い女性店員はお冷やを置くと、決まり文句のように『ご注文はお決まりでしょうか?』と私達に尋ねて来た。


その接客スマイルのような元気はいまの自分にはないと気分が沈んだ。


『私、コーヒー。あめみーは?』急に馴れ馴れしく『あめみー』と呼ばれて戸惑った。あめみーの愛称で呼んでくれているのは紺野亜紀かその友達くらいだったからだ。おそらくさっきの私と紺野さんのやり取りを見ていたに違いない。



『私は、えっと‥‥ホットココアで』


『以上でよろしいですか?ご注文承りました、失礼いたします。』


店員は行ってしまった。


『雨宮さん』


その直後、名字にさん付で名前を呼ばれたとき再び戸惑いを隠せずに居た。



『は、‥‥はい?』


真剣な眼差しで腕を組む滝川由美はこう言った。


『優子についてどこまで知ってる?』


やはりきた。優子のことだと思っていた。


なんと答えるのがベストなのだろうと暗中模索することしかできない。


何も答えられずにいる自分に腹が立った。一番近くに居た親友のはずの優子のことを何も知らないなんて‥‥。


『優子が行方不明になった理由はともかく、私が知りたいのは優子が行方不明になった日についてなんだけど‥‥』


ドクン


また鼓動が大きく鳴り響いた。


『‥‥優子が行方不明になった日‥‥?』


それって‥‥








ー『え?優子に脅された?』


白川優人との電話は30分以上続いた。


『そうなんだよ。俺がもう会うのやめようって言ったら』



『私‥‥白川君に襲われたことにする』


その日、駅前の公園に優子と白川は居た。


『え?何言ってんの?』


『強姦されたって‥‥私にもう会わないなんて言わないで』


『えっ何言って、ちょっ、じょっ‥‥冗談だよね?』


『だと思う?』


『俺ら別に付き合ってたわけじゃないじゃん!?』


『何それ?付き合ってたよ』


『はあ?!』


『とにかく白川君は私を振るのね』


『そうだけど、待ってよ、まさか本当にそんなこと言う気じゃないよな!?』


『私のお父さん、知り合いに警察の関係者がいるの』


『おい、待てよ!』




『‥‥それで別れたの?』


『‥‥まあ。それからどうなったか気になってさ』



『いつ?』


『夕方だったかな、多分』


『違う、最後に優子に会った日よ!』


『三日前の日曜日だけど‥‥どうかしたの?』



 私は白川にすべてを話した。


『嘘だろ?行方不明ってなんだよ?!最後に会ったのが俺ってことかよ!?』


『多分ね。でもまだ分からない。‥‥もしかしたら白川のところに警察がいくかもしれない』


『なんなんだよそれ、俺が容疑者だっての?』


『とにかくこのことは誰にも言わないでおこう‥‥約束よ?』


『クソッ‥‥なに考えてんだよあの女』


『待ってよ、まだ優子が事件か事故に巻き込まれたのかさえ分かってないのよ?まさか計画的に優子が自作自演してるとか言うんじゃ‥‥』


『でも、あんなこと言うような奴だぞ‥‥冤罪なんて簡単に作れるだろ‥‥お前なんか知らねえのかよ』


声が震えている。


白川がこんなに取り乱すなんて‥‥。


白川をこんな目に遭わせてしまったのには自分にも責任があると感じた滝川は優子について初めてちゃんと向き合う決意をした。



滝川はまず、いつも優子と自分が親しくしている友達ー高橋千夏に話を聞く事にした。


えーと、電話番号はっと‥‥。


ワンコールで電話にでた高橋は不思議そうな声をしていた。


『もしもし、由美が電話くれるなんて珍しいね』


滝川から優子のことを聞かれた千夏は改めて不思議に感じた。


『優子に最近変わった様子はなかった?』


『え?優子?』


ー変なの、昼間学校で優子の話を振ったとき大して心配もしていない様子だったのに‥‥もしかして優子に似た人でも見かけたのかな?


『それ警察の人にも聞かれたけど、特にないよ』


『‥‥そう、じゃあさ、優子と一番仲が良い子とかっていないの?』


『え?仲良いのってウチらじゃないの?ていうかなんで急に優子のこと‥‥』


『いや、なんとなくさ、やっぱ気になるじゃん?』


そのときふと高橋の脳裏に優子が誰かと一緒にいるイメージが浮かんだ。


『そういえば、優子と仲が良い子って‥‥違うクラスのあめ‥‥』


『あめ?』


『雨宮さんじゃない?たまに一緒にいるの見かけたことあるなーって』


『雨宮さん?』


どこかで聞いた事のある名前だ。滝川はふと部屋の本棚に目を向ける。


そして思い出した。手にしたのは小学生の時の卒業アルバムだった。



『ありがとうっまた明日学校で』そう言って携帯を閉じた。


『あ、うん。また明日〜』


なにがなんだか分からない高橋はため息を漏らした。













一日に二話連続投稿です。

やっぱりいろいろ難しいです。

見て下さった方ありがとうございます。

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