城の人達(2)
3話目です
アオとも別れ、自室に戻ると 真っ白い毛玉に突進され 床に押し倒された
『ご主人、お疲れ様!』
頭に響いてくる声は高過ぎず、されども低過ぎることもなく心地よい声だ
人懐っこく愛くるしい姿なのだが、その左眼には深い一筋の傷がある
可愛らしい風貌なのに何処か荒々しさを併せ持つ、雪のように真っ白な狐、それが私の相棒 テオだ
「ただいま、テオ」
返事を返してやると機嫌良さげに擦り寄ってくる
……何時までも床に倒れたまま、腹の上に乗られているのも辛いのだが。
「テオ、立つからどいてくれ」
頭を わしゃわしゃと撫でながらそう言うと一瞬、寂しそうにするものの撫でられたことが嬉しかったのかすぐに機嫌を直し、腹の上から降りた
『ご主人、そういえば仕事は?』
いつもは忙しく動き回っている時間なので疑問に思ったのだろう、不思議そうに聞いてきた
「あぁ、今日の午前中はやることがないらしい。だから、休憩」
他の使用人達の仕事を取るわけにもいかないので………暇だ
『え、そうなの!? じゃあさ、遊ぼ!!』
テオが 遊ぼ 遊ぼ! とはしゃぎたてる
たまには、遊んでもいいだろうか
「そうだな、いいよ 遊ぼうか」
そう言ってやると やったぁ! と、はしゃぐテオを宥め 遊ぶために必要なことをしに向かうとしよう
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テオを連れてやって来たのは城の裏側にある一室
ノックをし、返事が返ってきたのを確認して部屋に入る
「失礼します。 お久しぶりですね
……相も変わらず此処にいるなんて、暇人ですね」
「おぉ、久しいな 余りにも会わないので どこぞでとっくにくたばっているのかと思ったわ」
『……………。』
嫌味な挨拶を互いに交わすと無表情で見つめ合う
場が硬直し、ぴん と張り詰めた空気になる
その部屋にいたのはリュート・ハルバ・アレクシス
特徴的な話し方をし、その銀髪が冷たい印象を抱かせる。
彼はまだ若いが、なかなかの魔術の使い手だ
「いやぁ、本当に忙しい中 よく来てくれた!
まぁ、そこに座れ。何か飲み物でも……あぁ、クレイは紅茶だったな」
「失礼します。 ええ、紅茶で頼みます。
最近は本当に忙しくて……なかなか来ることができなくて、すみませんでした」
「いや、お前にはお前の仕事があるんだ。 そっちを優先するのは当然だろう?」
さっきの冷戦状態はどこへやら。 一変代わって驚くほど穏やかな雰囲気になる
部屋の中心にあるゆったりとしたソファーに座るよう促され、もてなしを受ける
彼はリュート・ハルバ・アレクシス
特徴的な話し方し、その銀髪が冷たい印象を抱かせる 彼はまだ若いのだがなかなかの魔術の使い手だ
─── そう、先ほどまでのやり取りは喧嘩を売っている訳ではなく、ただのこの二人なりの挨拶だったのだ
「出来たぞ。 テオはミルクか? それとも……」
ん、と差し出されたカップを受け取る
すると、私の足元で寛いでいたテオは声をかけられた瞬間 変化し始めた
全身の毛皮は衣服に変わり、獣の手足はしなやかな人の手足となり、四足だった足はいつの間にか二足になっていた
そんなはびっくりするような変化のあとに立っていたのは、人懐っこい笑顔を浮かべ 白髪に灰眼、左眼に傷のある青年(少年にしか見えない)だった
「うーん、俺はミルクティーがいいな 甘いやつ!」
「相分かった、砂糖は自分で入れてくれ」
「りょーかい!」
声はそのままテオなので分かるにはわかるのだが、獣が人間になるなんて 本当、信じられない話だな と、ゆったりと紅茶の香りを楽しみながら 他人事のように思う
もう、この摩訶不思議な出来事に二人は慣れてしまっていた
しかし、これはごく僅かな人にしか知られていない事なので普通は驚くのだろうが……
生憎、自分も転生という不思議な体験をしているので人のことを言えたものではないのだが
それにしても、リュートの出す紅茶は美味いな……
さっきまでの考えから目を背けるために好きなもののことを考える
「で、今日は何の用だ? まさかただ遊びに来たという訳ではないだろう?」
テオにミルクティーを渡してから問いかけられる
「遊びに来た、というのは半分正解なのですが 今日はテオと遊びたいので ''いつもの'' をお願いしに来たのです」
「相分かった、 ''いつもの'' でよいな? 久々だからといって暴れ過ぎるなよ?」
分かってます、と言って紅茶を飲み干した後
人間姿のままのテオと遊ぶべく城の裏にある裏庭へ出た
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テオは主人公の相棒で任務等も卒なくこなす
ご主人 大好きっ子
小さい頃クレイに拾われた
リュートとは古い付き合いで、嫌味の応酬は毎回らしい
その為、周囲には犬猿の仲と思われているが 実は仲良しだったりする




