第3話 恋の香りは風と共に
って、お、お前か!ペペロンチーノ泥棒!
な、何のようだ?
「あ、やっぱり……クスッ。ごめんなさい……振り向いたときの顔が……クスッ」
やっべ、マジでムカつく。相手から俺に干渉してくる女子はいない。こいつが初めて……ではないが。それに、なんか思ってた反応と違うのだが。
「な、何の用?俺忙しいんだけど」
嘘である。全くもって忙しくない。もはや暇人である。
だが、今の反応で、俺はこいつと関わらないと決めた!
確かにこいつは、あの人に似ている。だが、それは容姿だけ。
一番大事な性格がそんなのじゃ、俺の心には響かない。
さ、帰った帰った。とまで言う勇気はないが……
「ごめんなさい、朝の件でお誤りしたくって……っぷ……先輩の大事なペペロンチーノを、可愛い私が奪ってしまって、大変申し訳ありませんでした……クスッ」
はい、全ての謎、私が解明いたしました。これは、あれです。罰ゲームですね、はい、間違いない。
どうせ、なんかの罰ゲームで、こういうことをやらされてるんだろう。くだらねえ。
何が可愛い私だよ。いや、確かに可愛いよ?!容姿端麗なのは俺も認める。
後、少し距離が近い。
これはまるで、全男子が夢見る光景ではあるのだが、ちょっと、俺が女性慣れしていなさすぎるせいで、どうするのが正解かわからない。
「どうしたんですか先輩?そんな顔真っ赤にして」
なんだこれ。いや、こいつマジで何奴?罰ゲームでこれは気合入り過ぎだろ。
「わかった、ペペロンチーノの件はそこまで気にしてないから、一旦離れろ。で、なんでこんなことしてるんだ?」
誤魔化しはしない。単刀直入に聞く。これにもあっさり答えられれば、今回も俺の負けだ。
「なんでって?朝ペペロンチーノを奪ったのは、偶然ですよ。別に、何か変なことを考えてたわけじゃないです。先輩みたいに」
謎の倒置法がムカつく。マジでムカつく。それでもなお可愛いのがさらにムカつく。
こいつの目的が、マジでわかんねえ。絶対に、謝るためだけじゃない。それだけはわかる。
「じゃあな」
ここは一旦立ち去ろう。クソッ、こいつ相手だと最終的にはいつも逃げてるな。いや、ここは逃げるが勝ちだ。
「えぇ、つまんな」
うっせえ黙れ。
「せんぱーい、月曜日、お弁当持ってこないでくださいねー」
あ?多分お母さん忙しいので持ってこれませー……って、は?
聞き間違いか?弁当持ってくんな?どういう意味だ……
弁当持ってくんなって意味か、そりゃそうだ。
すまん、やっぱり意味がわからん。
ま、いいや。良くないか。
な、なんで俺の心臓さんはそんなバクバクしてんの?
やめろやめろ、頼むから、こんなやつに、変な気を起こさないでくれ。
決めたはずだ。もう、誰にも恋はしない。
一生ボッチで生きていく。
だから、お前も、俺に関わらないでくれ。
そうじゃなきゃ、ただでさえ自尊心ゼロの俺が、俺自身をさらに嫌いになってしまう。
ちょっと短めですが……キリが悪くなってしまうのでお許しくだされ




