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第八話 「 ラバウルの地にて 」 昭和十七年 七月

パラオからトラック泊地を経由し、約十日。285隊はラバウルへとたどり着いた。


FV「やっと着いたっすねぇ・・・にしてもあちぃ・・・」

グリム「古谷さん、結構暑がりですもんね・・・」

FV「そうなんすよ、大陸の夏ですらあちぃのに・・・さと飛曹長、今何度よ?」

さと「気温は・・・げっ、28度もある!」

岩井「赤道付近だしな。まあ、空なら涼しいぞ?」

中野「長旅の後ですし、すぐ飛ぶのはちょっと・・・」

ぺい「我々は南方戦線にいた分、多少は慣れてますな。」

グリム「暑さよりアムさんの相手の方が・・・ん゛んっ。」

   「まあ、まずは基地の様子を確認しましょ!」

岩井「そうだな。」


こうして基地に到着後、隊員たちは、それぞれ基地を見て回っていた。

広大な敷地。およそ120機は収容できるだろう。数多くの掩体壕が並んで見える。

基地の末端には、高射砲が2門。司令部棟屋上の対空電探と連動している。


岩井「驚いたな。この規模の基地を一隊で使えるのか。」

司令「補給隊・整備隊と警備隊はいるが、航空隊は我々だけだ。」

  「しかし・・・なぜここまで破格の待遇なのだ。怪しいぞ・・・」


司令が裏を読んでいる間、基地業務隊はせっせと働いていた。

元 旧型戦車のブルドーザーが、滑走路の火山灰を掻き出している。

灰は細かく、風が吹くたびに舞い上がって視界を悪くする。


グリム「南方の基地はこれだからなー。・・・機械で掃除するからマシだけど。」

FV「そういえばこんな問題あったっすねぇ・・・うわぁ面倒くせぇ・・・」

岩井「あの震災よりはマシだろうが、この規模だ。業務隊には感謝しかないな。」

司令「ああ。あとで滑走路の整備計画をまとめるとしよう。」


やがて隊員たちは、宿舎棟前に到着した。木造の高床式長屋が、何棟も並んでいる。


中野「なんか・・・だいぶ床が高いんですね。」

おちょ「現地の家を参考にしたらしいよ。湿気対策だってさ。」

ぺい「灰対策にもなりそうですな。感心でござる。」

FV「へぇ。んで肝心の宿舎の割り当ては・・・えっ?自分個室でいいんすか!?」

司令「私と各部隊長は個室、尉官は2人部屋、准士官以下は6人部屋だ。」

岩井「ずいぶんと好待遇なんだな。別に雑魚寝でもいいんだが・・・」

グリム「これはゆっくり寝れそう・・・!ありがとうございます!」


FVにとっては、宿舎よりも大切な建物が、司令部棟の隣にあった。


FV「ん?あれは・・・酒保・・・酒保!?いよっしゃぁ!!これで勝ったな!!」

さと「そういえば部隊長、大の酒好きでしたね・・・」

FV「戦争なんて飲まなきゃやってらんねぇよ!」

司令「飲むのはいいが、ほどほどにな。」


ここで、とあることに気が付いた。配備機数に対し、異様な大きさの補給処がある。

具体的には、3倍の機数は賄えるだろう。


岩井「にしても、やけに補給処が大きいんだな。」

司令「確かに、増援の機数を考えても大きいな・・・そういう事か・・・!」

FV「どうしたんすか司令、苦虫を噛み潰したような顔して・・・」

司令「どうやら大本営は、ここを前線の補給基地にしたいらしい。」

  「大方、『陸海軍双方の機体があるのだから、まとめてしまえ』と考えたな。」

岩井「・・・空襲の確率がかなり高い、ということか。」


最重要前線補給基地。それを任された山内司令の胃は、悲鳴を上げていた。


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